[特集]
ベトナムに「本の種」を撒く、若きエンジニアの試み
2011/09/25 06:10 JST更新
) (C) Tuoi tre, Phi Long |
「もし可能なら世界中の人に本を配って回りたい。人々が田畑に種を撒くように」アメリカの教育改革者ホーレス・マンの言葉だ。この言葉に感銘を受けて、ホーチミン市タンビン区で働く通信エンジニアのド・アイン・トゥアンさん(30歳)は、ある計画を思いついた。
「学生時代は、とにかく節約して本を買うために貯金していました。でも、私の周りには読書好きの人はあまりおらず、どうしたら皆が本に接する機会が増えるのだろうかといつも考えていました」そこで、思いついたのが、自分の本を大勢の人とシェアするという「本の旅」計画だ。
ブログを立ち上げて「本の旅」プロジェクトについてのアイデアを説明し、登録者が現れるのを待った。最初の贈呈用に50冊の本を購入して、本の受け取りを望んだ人宛てに贈った。本を受取った人は、読んだ感想をブログに投稿し、また別の登録者に送る。こうして本はベトナム中を旅するわけだ。
最初の登録者の1人である同市師範大学3年生のダオ・ティ・ヒエンさんは、ブログを見てこの活動に関心を持ったという。「この活動は本を贈るという慈善的な活動に留まらず、読書の感動を広め、読書家のネットワークを作る試みだと思います」
こうして、同志が増えていき、ブログを通して本に関する様々な情報が行きかうようになった。始めは興味本位で登録していた人たちも次第に力をあわせて活動に参加するようになり、彼らの協力を得て2回目の贈呈では100冊の本を準備することが出来たという。
「小さい頃から本が好きでした。お金はあまり無かったので、私にとって古本屋は言わば宝の山でした。ですから、友人や先輩が簡単に古本をゴミ箱に捨てるのを見ては、いつも心が痛んでいました。他の人には、まだ価値があるかもしれないのにと」
本をシェアすることは、お金の節約になるだけでなく、環境の保護にも繋がる。ベトナムに本の種を撒くため、トゥアンさんは本を贈り続ける。いつか種が大木となる日を信じて。
[PHI LONG - TRẦN HƯNG Tuoitre 31/08/2011, 06:45 (GMT+7)U]
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