[特集]
米国の学生に「機会の平等」教える越僑女性
2011/07/24 08:44 JST更新
(C) SGTT, Tuong Huy |
ベトナム系米国人アリス・ホンさんは現在、CETアカデミックプログラム(CET)のベトナム事務所所長を勤めている。CETは米ワシントンDCに本部がある留学機関で、毎年多くの米国人大学生を世界各国に送り出している。ベトナムではハノイ市とホーチミン市で学生を受け入れ、ベトナム語とベトナム文化の体験をさせている。
ホンさんが特に気に入っているCETのプログラムは、学生たちを電気もインターネットもテレビもない僻地に引率する仕事だ。彼らはその地で子供たちに英語を教え、孤独な高齢者のための福祉施設の建設にボランティアで参加する。
恵まれた環境に慣れている米国の学生たちは、こうした厳しい生活を通して心を開き、「生まれる場所を選ぶことは誰にもできない」ことに気が付き、奉仕の精神に目覚めていくという。彼女はこのことを大変重視している。「機会の平等」は、米国の思想の中で彼女が最も大事にしている考え方だからだ。
ホンさんは18歳の時、ある会合で台湾に嫁いだベトナム人花嫁たちの置かれた大変な状況を知り、自分も力になりたいと思った。中国語を身に付けた方が良いとのアドバイスに従って、イェール大学在学中に中国語を学習し始め、ジョンズ・ホプキンス大学南京校の大学院で中国語と国際関係を学んだ。
大学院で論文を書くために、台湾のベトナム人花嫁やベトナム人移住者の支援施設を訪れ、法廷通訳や中国語の講師を務めた。これは彼らに「機会の平等」を作り出す助けになったと思っている。
ホンさんは、英語、ベトナム語、中国語に加え、フランス語、韓国語、スペイン語も使いこなせる。さらにチェロ、ギター、シタール、ピアノなどの楽器も弾きこなせるという特技の持ち主だ。
こんな彼女なら、大学院修了後にいくらでも高収入の職があったはずだ。それでもホンさんはCETの職を選んだ。「ベトナムでは住宅も食事も通勤にかかる費用も、全て支給されるので、給料はほとんど残ります。カリフォルニア州に住む両親がこのお金を使えるように口座を開きました。私は7人兄弟姉妹の上から2番目で、弟妹たちの面倒をみる責任がありますから」とホンさん。
ホンさんは、ベトナムの若者たちに「機会の平等」を作り出し、米国の家族を助けることができる今の仕事につけて、大変満足し幸運だと感じている。
[SGTT Media, 14.07.2011, 07:17 (GMT+7), O]
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