[特集]
山岳民族の学生らによる初の電子専門辞典
2011/07/17 06:19 JST更新
(C) Dan tri, Van Chung |
ディン・テー・ズイは北部ホアビン省タンラック郡のノン族の家庭に3人兄弟の末っ子として生まれた。両親は農業を営んで3人の兄弟を育て上げた。2人の兄はタイバック大学を卒業し、長男は現在、中学校の教員、次男はタイバック大学の教授をしている。
高校時代、ズイの成績は優秀で物理学コンテストの賞を3度受賞した。以前はハノイ国立大学、自然科学大学で環境学科か化学科を目指していた。しかし何度も受験に失敗し、もっと自分に合った学部を選ぼうと考えを変えた。そして、ハノイ農業大学に優秀な成績で合格した。この大学に合格した人は、それまでクラスで2,3人しかいなかった。
「多くの農学部の学生はこの学問をつまらないと思い、卒業してからも自信を持てずにいます。特に僕が入学した農業通信学科には入学後に他の学校に入り直そうとする学生が大勢います。しかし、通信技術を農業や酪農に応用するというこの新しい分野には多くの課題と研究対象、技術開発の余地があり、やりがいのある学問だと思います。」
研究する上で困ったことは、新しい研究分野であるがゆえに「英越」の専門辞書がないということだ。そこで、ズイは5人のクラスメートとともに英越の専門辞書をいつでもどこでも手軽に調べられるソフトウェアというかたちで作ろうという計画を立てた。
最も大変だったのは、データの収集と統一化の作業だったという。データは専門誌や研究資料に散在しているからだ。豊富な語彙、写真や図解などを実現するために、できるだけ多くの資料から情報を集めた。教授にも協力してもらい、語彙の統一化を行った。さらに科学研究学生賞をとったこともある獣医学科の翻訳サークルにも協力を仰いだ。
そうして完成した辞書(VETDICT)と開発チームはハノイ農業大学の科学研究学生賞を受賞する。2010年のベトナムの優秀な開発作品に贈られる賞では165作品中で18位に入った。
ズイは受賞の際に次のように語っている。「製品としては技術的にもデータ的にももっと充実させないといけません。ただこの製品のメリットは、パソコンの使い方を少しでも知っている人なら誰でも使えるという点で、新しい専門分野を学ぶ学生やこれから学ぶ人たちの手助けになれればと思います。」
ハノイ農業大学獣医学科の重鎮チン・ディン・タウ教授は、この山岳民族出身の学生を評価してこう語った。「熱心で勤勉、積極性やチャレンジ精神もある。彼は自らの選んだ道を切り開いて行ってくれるだろう。」
[Văn Chung Dantri 20/02/2011 - 07:07 U]
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