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[特集]

フエの「墓の町」が隠れた観光名所に

2011/05/01 08:27 JST更新

(C) Lao Dong, H.V.M
(C) Lao Dong, H.V.M
 北中部トゥアティエン・フエ省フーバン郡ビンアン村アンバン地区は、巨大な墓が立ち並ぶ「墓の町」と知られているが、今では隠れた観光名所になっている。40ヘクタールの広大な土地に建てられている墓の建築様式は様々で、仏教風、キリスト教風、グエン朝風、中国風もあれば中東風もありと何でもござれだ。墓の町の発展に伴って、墓を飾る装飾陶磁器業も復活し、職人たちは国内のみならず、海外の越僑のために墓造りに出かけている。  当初は浪費だといい顔をしていなかった地方政府も、観光地になり得ると分かってからはむしろ支援する側に回っている。フエトラベル社は同省文化スポーツ観光局の協力を得て、タムザンラグーンやそれに隣接する墓の町訪問などを組み合わせたツアーの販売を1年前から開始した。  同社のファン・ティ・トアイ・カイ社長は、「当初は墓の町訪問が受け入れられるかどうか心配だった。ところが、意外にも評判が良かったのは墓の町のほうだった」と話す。ホーチミン市からこのツアーに参加した観光客は、「報道を通じて知ってはいたが、実際に見て驚いた。フエの人々の先祖を思う心は特別なのでしょう」と語った。ただ、観光施設として整備されている訳ではないので、普通の観光地のようなサービスを期待することはできない。

 数年前いくつかの報道機関は、アンバン地区での巨大な墓の建設は浪費に他ならず、地方政府は何もできないのかと批判した。当時ビンアン村共産党委員会書記のドー・スアン・ホアン氏は「住民には浪費をやめるよう呼びかけてはいるが、強制することはできない」と弁明していた。  今、ビンアン村では約1800世帯の約9000人の人々が暮らしている。このうちアンバン地区の人口は5000人で、各世帯の8割以上に海外在住の親戚がいる。建設費が10億ドン(約400万円)に達する豪華な墓を建てられるのは、海外在住の越僑からの送金のおかげだ。その一方で貧困世帯率が18%近くに達しており、貧富の格差が浮き彫りになっている。  アンバン地区出身の越僑コミュニティは最近、40億ドン(約1600万円)以上を拠出して観音菩薩像を購入し、海岸沿いに建てることを決めた。貧困世帯に属するHさんは「その資金の一部でも貧困世帯向けの低利の貸出資金に充ててもらえれば」と唇を噛んだ。  前出のホアン氏は、「アンバン地区の住民や越僑たちには、10億ドンの墓の建設予算のうち5%の5000万ドン(20万円)だけでも、貧困世帯の支援や道路建設など社会のために寄付して欲しいと呼びかけている。だが残念ながら結果は思わしくない」と長い溜息をついた。  

[Lao dong online, 22.4.2011 | 08:40 (GMT + 7), O]
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