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[特集]

女性医師アン・グエン「越米を心でつなぎたい」

2007/09/16 08:45 JST更新

 「これ、素敵だわ」。青いアオザイに身を包んだ女性は、ベトナムとアメリカの国旗が横に連なっているバッジを見て声を上げた。アメリカとベトナムを心でつなぐこと、これはX線科の女性医師で若いベトナム系アメリカ人アン・グエンの夢でもある。  ベトナムには何度も帰っているけれど、今回は特別だ。今年7月、アメリカ海軍病院船ペリリュー(USS Peleliu)にX線科の唯一のボランティア医師として乗り込んだアンは、一生懸命中部ダナン市の人々の治療にあたった。「もっとベトナムの貧しい人々を助けたい。もっと長い期間いたいのだけど」。彼女は標準語に近い北部のベトナム語でこう話す。  彼女は長年の願いをこう語った。「ベトナムの人たちと協力したいの。デューク大学やハーバード大学などの有名校を出たアメリカ人医師をベトナムへ連れてきて指導してもらったり、逆にアメリカにベトナム人医師を招いたり」。彼女はまた、アメリカの企業や有志の協力を得てベトナムの病院に薬や医療機器を寄付したいと思っている。もちろん薬は最新のもの、医療設備も中古ではなく新品のものだ。  これらの願いを実現するため、彼女は「プロジェクト・ホープ」という非政府組織(NGO)に所属して活動している。「このNGOにはアメリカ全土の大小の企業が協力してくれているの。昨年の支援額は1億3100万ドル(約150億円)。そのおかげで、35カ国で活動できたわ」。現在プロジェクト・ホープは、ベトナムでの活動許可を得るため、保健省や関連機関と協議しているところだという。  「できるだけ早く、貧しい人々を一人でも多く助けたい。病院や医師養成所を建設したり、必要な医療設備を寄付したりしたいの」と彼女の夢は膨らんでいる。「ダナン病院は大きくていい病院だけど、850床のベッドに2000人以上の患者さんが入院している。つまり同じベッドに複数の患者さんが寝ているの」。この事実にはショックを受けたようだ。  カリフォルニア州上院議員のロウ・コレアがかつてこう言ったことがある。「ベトナム系アメリカ人のコミュニティは非常に特異で、故郷への関心を強く持ち続ける。そして皆で力を合わせて問題解決に奔走する。自らのルーツに対してこれほどまで思いの強い民族はまれだ」。アンはまさにそのコミュニティの一員だ。そして、いつも心にベトナム国旗とアメリカ国旗を掲げて働く彼女の姿は、多くの人々の心をひきつけ、つないでいくことだろう。  

[2007年9月1日 Tuoi Tre紙 電子版]
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