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北部ハータイ省のカオハー村落は、犬肉で有名な村だ。食用犬を仕入れ、解体、販売するという「犬肉業」を代々続けている家族も多い。販売用や村民の食用も合わせると、この村で一日に消費される犬肉の量は平均でおよそ1~2トン、多い時は3~5トンにものぼり、他の地方からも多くの業者が犬肉の買い付けにやって来る。 最近は犬肉の需要が増えたため、ベトナム国内の食用犬は高値で貴重になってきており、病気の犬ややせ細った犬が売られていることも多い。そのため、カオハー村で業者に食用犬を提供するトゥさんは、ラオス、カンボジア、タイから犬を輸入している。国内で飼育された犬よりも、海外の犬の方が安いうえに風味もあってより美味しいそうだ。 トゥさんが海外から仕入れた犬のうち、1/3はカオハー村の犬肉業者に渡る。残りは別の業者らに売られ、ハノイや近隣の省の市場に並ぶ。トゥさんは、毎回10台ほどのトラックで犬を仕入れては売りさばき、かなりのお金を貯めることができた。裕福なカオハー村の家々の中でも一段と高くそびえる4階建ての豪邸は、トゥさんがこの商売だけで建てた「犬御殿」だ。 しかし、犬肉の恩恵を被っているこの村にも暗い影の部分がある。大きな問題となっているのは、犬の解体作業などで発生する廃水や臭いによる生活環境の汚染だ。裕福とはいえ、インフラが整っていないこの村では、常に不快な臭いが立ちこめ、犬の毛や排泄物などで排水溝が詰まり、雨の日になると真っ黒い廃水があふれ出る。村民の間では、この環境汚染が原因と思われる様々な病気、特に呼吸器系や皮膚の病気が多く確認されている。 また、犬肉を扱う仕事をする人々の間に深く根付く心理的な問題もある。殺生への抵抗からなのか、「(犬を殺す)この仕事をしていると必ず災難に遭う」とこの村の人々は口々に言う。本当のところは分からないが、実際この村では不幸な出来事が相次いでいる。犬肉を洗う大樽に落ちたり犬に噛まれて死亡した人もいれば、ある女性は、犬肉を売りに市場へ向かう途中、夫を交通事故で失った。さらに彼女は、犬肉商売で家庭が裕福になった結果、甘やかされて育った息子がドラッグにはまり、最近死んだのだと言う。 現在ハータイ省では、犬肉業や他の業種に対してそれぞれ土地を割り当てる計画を検討している。そうすることで、業種ごと、そして住宅地と分離し、環境汚染問題の解決を図ろうというのだ。しかし、村のインフラ整備など、根本的な問題については解決の目処はたっていない。
[2006年7月9日 Cong An Nhan Dan紙 電子版]
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