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ホーチミン市4区のソムチエウ教会には、5つの面がガラス張りになった棺がある。棺の中には、100年以上も前に亡くなった女性の遺体が納められている。科学的な方法によって保存されているわけではないにもかかわらず、遺体は腐敗することなく、そのままの姿を保っている。この遺体は、1856年代からあるソムチエウ教会の最大の謎となっている。
棺は、亡くなったこの教区の信者の遺灰が納められた、頑丈な鉄の扉のある部屋に安置されている。棺の中の遺体は、衣服を身につけ、頭にシルクのスカーフを巻いて、仰向けに横たわっている。棺の外側には、故人の生没年と遺影が印刷された、黒い御影石の墓碑が置かれている。
墓碑の情報によれば、遺体はアンナ・グエン・ティ・シーという女性のもので、1840年に生まれ、1906年に亡くなったという。
ソムチエウ教会内務協会の副会長であるヨセフ・ディン・クアン・ルアット氏によれば、シー女史は修道女ではなく、一般の教区民だったが、生前はこの教会で生活していたという。
シー女史が亡くなった後、子供や孫たちは彼女を旧サイゴン港墓地に埋葬した。その後、フランス植民地政府が墓地を移転する際に、シー女史の墓も親族によって改葬されることとなった。
しかし驚くべきことに、墓を掘り起こしてみると、身につけていた衣服こそぼろぼろになっていたが、シー女史の遺体そのものは腐敗することなくそのまま残っていた。