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貸し部屋の家賃は月300万VND(約1万7400円)だ。部屋は15m2の広さしかなく、ベッド2台が部屋のほとんどを占めている。電動三輪車のほかに家の中で価値があるものといえば、もらいものの冷蔵庫くらいだ。
高齢の病人を介護するタムさんの毎日は朝から晩までとても忙しい。さらに、食費に加え、ナムさんの薬代やおむつ代でいつも経済的に苦しい状況が続いている。
6年間の介護生活の中で、大変な状況に陥ったこともある。ナムさんを車椅子に乗せようと抱き上げたところ、タムさんは不運にも脊椎を痛めてしまった。入院費も十分にない上、半月近くかかった治療中には別の友人にナムさんの介護を頼まなければならなかった。
「あの時は本当にお金がなくて、生活が行き詰まってしまったような感じでした。退院する時に、医師から20kg以上の重いものを持ち上げないようにとアドバイスを受けましたが、母を1か所に寝かせておくわけにもいきませんから」とタムさん。幸い、心ある人が電動三輪車を寄贈してくれたため、車椅子を押して出かけていた時に比べると2人ともずいぶん楽になった。
貸し部屋の大家もタムさんとナムさんの困難な状況を知っており、家賃を安くしたり、食料を分けたりもしているという。大家は「タムさんにとってナムさんは血のつながった家族じゃないのに、本当の母親のようにナムさんを愛し、献身的に介護していて。タムさんは本当に立派ですよ」と語る。
ナムさんはベッドに横たわってタムさんを見つめながら、歳をとってもこうしてそばで世話してくれる人がいることは幸運だ、と話す。一方で、実の子供たちからは助けを得られず、他人に頼らざるを得ない状況に当惑し、悲しくなることもたびたびあるという。
「人生の終盤は貧しい生活ですが、私のことを実の母親のように愛してくれて、残りの人生の面倒を見ると約束してくれたタムに出会えて、慰められています」とナムさんは語った。