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17年前、ホープさん夫妻は、フンという名のベトナム人男児を養子に迎えた。小さく、体中に疥癬があり、そして顔の半分が腫瘍に覆われた男の子だった。
「サミュエルはもう高校を卒業して、じきに大学に入るんですよ」。米国カリフォルニア州サンディエゴに住む米国人女性ホープさん(51歳)が語るサミュエルというのはそう、17年前に夫妻が養子に迎えたベトナム人男児フンのことであり、渡航して間もなく、米国の医師からも、言葉を話すことができないか、普通の子のように学校には行けないだろうと言われた子のことである。
1990年代、疫学者であったホープさんは、仕事で東南アジアを訪れていた。貧しく、やせ細った子供たちと毎日接するうちに、彼女の心には、いつかこの子達を養子に迎えることができれば、という想いが募るようになった。
「いつも神様にお祈りをしていたのですが、ある晩、ホーチミン市を歩いている夢を見たんです」。
それが、シグナルだった。2005年に彼女と夫ジョンさんは、ホーチミン市ゴーバップ区の孤児院に、養子を迎えたいという希望を伝えた。すると孤児院からは、赤あざをはじめ健康に多くの問題を抱えた子供を紹介された。名はグエン・レ・フン、16か月の子供だった。しかし孤児院から送られてきた写真を見て、ホープさん夫妻は動揺を隠せなかった。子供の状態が、ここまで深刻だとは思っていなかったからだ。
しかし夫妻はまず、フンのもとを訪ねることにした。書類によると、男の子は2004年に東南部地方ビンフオック省で生まれた。生後16か月であり、もう歩き始めておかしくない年頃だったが、彼はまだ、生まれたばかりの赤ん坊のように、ベビーベッドのなかにいた。