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「私と妻がまだ働いていたときは、家族の中で(長女を含めて)3人が収入を得ていたので、家族の生活費は足りていました。でも、新型コロナのせいで私も妻も失業し、今は長女だけが働きに出ています。その給料で米を買い、お金が余れば野菜も買いますが、他に充てる余裕はありません」とクアさん。
ズンさんもこう続ける。「長女は結婚してもいい歳ですし、もし長女が家庭を持つことになったら我が家の生活はどうなるのかと不安もあります。娘は『両親ときょうだいの面倒を見てから結婚すればいい』と言っていますが、とにかくこの新型コロナ禍を乗り越えられるよう願っています」。
失業して数日の間、クアさんは仕事仲間たち皆に電話をかけ、人手不足の現場がないかたずねた。仲間たちの間でも仕事がないとわかると、今度はバイクを走らせて現場を探して回ったが、やはり仕事は見つからなかった。
クアさんは「私は文字があまり読めないので、配車アプリのバイクタクシーの運転手もできません。昔ながらのバイクタクシーの運転手も、道がわからないので無理でしょう。そうなれば、妻を手伝って資源回収をするしかないんです。幸い大家さんが良い人で、3か月家賃を滞納していますが、それでも住まわせてくれています」と吐露した。
田舎に帰らず、厳しい生活を送ってまでなぜホーチミン市に残るのかとたずねられると、ズンさんは苦笑しながら「ホーチミン市にいれば仕事はなくても資源回収はできます。田舎に帰っても資源回収では稼げません。だから、ここに留まるしかないんです」と語った。
時計の針が、新しい1日が始まる時間を指した。クアさんたちは深夜のホーチミン市をバイクで走りながら、自分たちの生活のためにあちこちのごみの山を探している。