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サウ・レンさんと同じくビンロウジを売っているガイさん(女性・61歳)は、「私は15歳の頃からここでビンロウジを売っています。ここの売り手の多くがホーチミン市のビンロウジの産地であるバーディエム村出身です。以前はここから市内の各市場へビンロウジを供給していて、時には東南部地方にも卸していました」と語る。
しかし、キンマを噛む習慣のある人も少なくなり、人々は婚約・結婚の儀式のためにビンロウジを買うだけというケースがほとんどのため、市場は昔のような賑やかさを失ってしまった。そのため、ビンロウジ市場が本当の賑わいを見せるのは、婚約式や結婚式が行われる週末だという。
ビンロウジは30個あたり10万VND(約490円)ほどで売る。実は3日もすれば腐ってしまうため、売り手は1日に多くても30kgしか仕入れない。かつてはバーディエム村のビンロウジだけを売っていたが、今はメコンデルタ地方や時に南中部沿岸地方のクアンガイ省やビンディン省からも仕入れなければならない。
枝のついたまま仕入れて、見た目の悪い実は外して個別に売る。新鮮で見た目の美しい実は、きれいに飾って「ヒー(hy=漢字で「喜」を横に2つ並べたもの)」の文字のシールを貼り、婚約・結婚の儀式に使う。
8区に住むフイン・トゥアンさん(男性・62歳)は40年以上もの間、毎週この通りにバイクでやってきてはビンロウジの実を買い、その場で噛む。「いつも10kgほど買って帰り、少しずつ噛んでいます。私はバーディエム村のビンロウジしか口にしません。他のところのビンロウジにはない独特な風味があるからです」とトゥアンさんは語った。