ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

炊飯器ブランドの社長になったレモン売りの少女

2017/07/16 05:51 JST配信
(C) vnexpress
(C) vnexpress

 「当時、その機械の需要が高かったので、商売を初めてすぐに200万VND(約1万円)の利益を得ることができました。ゴールドが1匁(3.75g)あたり20万VND(約1000円)の時代に、私はこの商売で機械1台あたり毎回50万VND(約2500円)の利益を得ていたのです」とミンさんは誇らしげに教えてくれた。

 経営はうまくいき、1994年にミンさんは警察の仕事を辞め、自営業で生計を立てることに決めた。1980年代の終わりから1990年代始めの時期は、配給制からドイモイ(刷新)政策への転換期で、人々の家電製品への需要が高まり、特に中国製の家電がベトナム市場を独占していた。そこでミンさんは、正式に市場に参入し、東北部地方ランソン省や東北部地方クアンニン省モンカイ市などから中国製品を集め、南部へ運んだ。この商売はミンさんに莫大な利益をもたらした。

 経営が順調に進んでいたある時、ミンさんは全ての資金を不動産業に充てようと決意した。しかし騙されて土地を購入してしまい、資金を全て失ってしまった。そのため元の仕事に戻り、水道管や水ポンプ、家庭用品などを販売する小さなお店を開き、再び少しばかりのお金を貯めることができた。

 しかし当時のミンさんは、 ベトナム人が競って中国製品を購入していることに懸念を持っていた。特に中国製の炊飯器はとても人気があったが、まだベトナム製の製品を見かけることはなかった。

 1998年の始めにミンさんは炊飯器とドライバーを購入して持ち帰り、炊飯器を分解して研究を始めた。そして1年後には炊飯器の設計と仕組みを熟知した。

 「1台の炊飯器を見るととてもシンプルに見えますが、製造するには多くの工程があり、金型やケージなど42個におよぶパーツを買わなければいけません。この事業のために私は20億VND(約1000万円)の借金をしました」。

 ミンさんは1年後にミンコア電機会社を設立し、ベトナム人によるベトナム製の「カラフルな模様に溢れた」炊飯器を製造するという信念を掲げ、「キムクオン(Kim Cuong)」ブランドを立ち上げた。

 若き女社長は300m2の小さな工場を借り、10人の従業員を雇った。当時の1日あたりの製造数は30台だった。ミンさんによると「人々は売るために作っていましたが、私は…熟考するために作っていました。毎日炊飯器を抱えて綺麗に磨き、自分の子供のように撫でていました。そうして、 3か月後にようやく自分の商品を市場に出すことにしました」。

 メコンデルタ地方カントー市の顧客から12台の発注が入り、ミンさんは初めて自分の商品を出荷することになった。顧客がミンさんの商品を自分の店で販売すると、低価格かつ美しい製品だと評判になり、2度目の発注では100台、3度目の発注では300台と一気にミンさんへの注文が増え、製造が追いつかないほどになった。

前へ   1   2   3   次へ
[Song Thuong, VnExpress, 6/3/2017 | 05:00 GMT+7, A].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
通話アプリ「Zalo」、利用規約改定で批判相次ぐ 当局が調査へ (6:56)

 商工省傘下の国家競争委員会は29日、通話やメッセージング、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のマルチプラットフォーム「ザロ(Zalo)」を運営する地場総合インターネットメディア運営大手

25年外交総括、経済外交で協定など約350件合意 (6:22)

 国際情勢が不安定化する中、ベトナムの経済外交は2025年に約350件の協定・コミットメントに合意した。これは、29日にハノイ市で開かれた2025年外交分野総括会議で発表されたもの。会議にはファム・ミン・チン首...

地場スタートアップのサオラテック、ドローンでの輸送実証に成功 (5:56)

 ドローン技術を手掛ける地場スタートアップのサオラテック(Saolatek)は29日、携帯端末販売を展開するジードンベト・テクノロジー(Di Dong Viet Technology)と連携し、ホーチミン市のサイゴンハイテクパーク(SHT...

ホーチミンのベンタイン市場で半世紀以上愛されるチェー店 (28日)

 チュオン・ティ・トゥエット・チンさん(女性・63歳)は、7~8歳のころからホーチミン市のベンタイン市場で母親のチェー(ベトナム風ぜんざい)の屋台を手伝っていた。そして、50年以上にわたり市場に身を置き、母...

農業環境省、農産物トレーサビリティシステムをお披露目 (5:40)

 農業環境省はこのほど、ベトナム農産物トレーサビリティシステムのお披露目式典を開催した。同システムは、農林水産物の生産・加工・輸送・流通のすべての過程で原産地情報の記録・管理・検索を可能にするデジ...

日本のベトナム人新規入国者数、25年1~6月期は17万人 (4:19)

 日本の法務省出入国在留管理庁が発表した2025年1~6月期における外国人入国者数及び日本人出国者数等に関する統計によると、同期の日本におけるベトナム人新規入国者数は前年同期比+1.3%増の16万9931人で、構...

日本の在留ベトナム人数66万人で過去最高更新、国籍別2位 (3:57)

 日本の法務省出入国在留管理庁が発表した2025年6月末時点における在留外国人数に関する統計によると、同時点の日本における在留ベトナム人数は66万0483人で、2024年末時点と比べて+4.1%増加し、過去最高を更新...

日本のベトナム人不法残留者数、国籍別で最多 半年で▲8.6%減 (2:07)

 日本の法務省出入国在留管理庁が発表した2025年7月1日時点における不法残留者数に関する統計によると、同時点の日本におけるベトナム人不法残留者数は1万3070人で、2025年1月1日時点と比べて▲8.6%減少した。 ...

電子労働契約に法的枠組み、26年から適用 人的資源管理のDX加速 (30日)

 政府はこのほど、電子労働契約に関する政令第337号/2025/ND-CP(2026年1月1日施行)を公布した。これにより、デジタル環境における労働契約の締結・履行に法的根拠が整備され、人事管理のデジタルトランスフォー...

ビンEVタクシー、都市部向け小型EVバン配車サービス開始 (30日)

 不動産開発を中核とする民間複合企業ビングループ[VIC](Vingroup)傘下のビンファスト(VinFast)製電気自動車(EV)・電動バイクのレンタカー・タクシー会社で、配車サービス「サインSM

ホーチミン:第4トゥーティエム橋建設を承認、投資総額300億円 (30日)

 ホーチミン市人民評議会は、第4トゥーティエム橋案件の投資方針を承認した。同案件は、投資総額5兆0630億VND(約300億円)超で、市南部と中心部、アンカイン街区(旧トゥードゥック市)にあるトゥーティエム新都市...

英国王室、国内在住ベトナム人に「大英帝国勲章」を初めて授与 (30日)

 英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシル(British Council)によると、同団体のコンプライアンス担当責任者のカオ・ティ・ゴック・バオ氏は、ベトナムと英国の二国間の教育・文化協力への...

25年の自然災害、死者・行方不明415人 被害額5400億円 (30日)

 2025年にベトナム全国で発生した自然災害により、415人が死亡・行方不明となり、728人が負傷した。被災した家屋は、倒壊が3906軒、損壊が33万0999軒に上り、数十万haの農耕地も被害を受け、経済的な被害額は91...

ホーチミン:公示地価を更新、1平米最高410万円 (30日)

 ホーチミン市人民評議会は26日、2026年1月1日から適用する公示地価表を定めた決議を採択した。  住宅用地について、第1区域(旧ホーチミン市)では、最高地価が1m2当たり6億8720万VND(約410万円)となり、旧1...

ベトナム賃金、医療・IT系が高水準 医療管理職は月給30~42万円 (30日)

 求人情報サイト「JobOKO」が先般発表した「2025~2026年給与レポート」によると、2025年のベトナム労働市場では賃金水準が引き続き改善した。高度な専門性、実務経験、テクノロジー適応力を要する各職種は、平...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved