(C) dantri, セーさんと種なしレモン 写真の拡大 |
(C) dantri, セーさんと種なしザボン 写真の拡大 |
ベトナムで種なしレモンや種なしザボンを栽培し、「種なし果実のボス」と呼ばれている農民の老翁がいる。東南部地方ビンズオン省バックタンウエン郡に住むレー・バン・セーさんだ。種なし果実の栽培で、セーさんの年収は300億VND(約1億6500万円)に上っている。
タンウエン町及びバックタンウエン郡は、東南部地方における果物の産地として知られている。ここに住むセーさん一家も、他の地元住民と同様に果実栽培で生計を立てている。1980年代に家業を継ぎ、親から1haのオレンジ農園を受け継いだ彼は、30年かけて農園の面積を110haまで拡大し、柑橘類の果実栽培の達人として全国的にも有名だ。
「お金になる」果実を求めて、セーさんは若い頃からメコンデルタ地方や南中部高原地方など全国各地を駆け回り、気候や土壌を含めて果実の栽培について学びながら、自分の農園でも試験的に栽培を行っていた。これといったものがなかなか見つからず苦悩の日々を送る中、彼は海外渡航を決意し、シンガポールでやっと本命の果実に出会った。
シンガポールで出会った本命の果実。それは、米国産の種なしレモンだった。「カクテルに添えられたレモンを見て値段を尋ねると、米国から輸入したもので、1個5USD(約610円)という答えが返ってきました」とセーさんは語る。
シンガポールから帰ったセーさんは、一家の貯金をはたいてまた旅に出ることにし、今度は米国を訪れた。シンガポールから持ち帰った種なしレモンを手に米国の地に立った彼は、運よくカリフォルニア州で苗木100本を購入することができた。税関検査で苦労する場面もあったものの、苗木は無事にベトナムへ輸送された。