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ジョハンナ・バスフォードも、「このような塗り絵本が注目を集めている理由の一つは、様々な環境の中に生きる人々のストレスをほぐすことができることでしょう」と述べている。
また、塗り絵本は、大人たちの「絵を描きたい」という気持ちも満たす。幼い頃は誰しも紙と色鉛筆と想像力を使って創作し、時には絵描きを夢見ることもある。しかし大人になると、白い紙と色鉛筆を前にしても、何をしたらよいかわからなくなる人が少なくない。多くの人は、絵を描こうと綺麗な色鉛筆のセットを購入しても、引き出しの中にしまい込んでしまう。
しかし塗り絵本は、本の紹介文にも書かれているように、このような大人たちの「感性を目覚めさせる」と共に、「真っ白な紙に描くよりも簡単な創作」を可能にしてくれる。
「塗り絵本で、人々は幼少時代に戻ることができます。何が正しくて何が間違いかという心配をしなくても良かった時代です。塗り絵本では、葉っぱは何色か、鳥は何色かなど気にすることなく、自分の思い通りに色を塗り、自分が創作することができるのです」とザ・トゥオンさんは言う。
塗り絵に熱中する大人の一人、ホーチミン市の会社員フオン・ザンさん(女性)は、「塗り絵本の絵はとても細かいので、塗り絵は忍耐の訓練になります。また、大きな塗り絵に一緒に没頭することで、友達との仲をより深めることができます」と、その魅力を語る。
塗り絵本の出現は、ベトナムの書籍市場に変化をもたらした。発行からたった数か月で再版を重ねており、売れ行きは上々だ。この成功を受けて、各出版社が次々と新しい塗り絵本を発行している。海外の本の翻訳だけでなく、ベトナムの画家が描いた塗り絵集も現れた。
塗り絵本は、単なる本ではなく遊びながら創作もできる場でもあるため、今後ベトナムにおいて独自の市場を作り出すことになるだろうと期待されている。