ベトナムニュース総合情報サイトVIETJO [ベトジョー]
 ようこそ ゲスト様 

土地がなくとも家が建つ「危険な村」に暮らす人々

2014/05/18 07:58 JST配信
(C)Lao Dong, 「危険な村」の家並
(C)Lao Dong, 「危険な村」の家並

 20年以上水上で暮らすホアン・アイン・トゥアンさんによると、1997年の台風以前、この水上集落では10世帯ほどの貧しい人たちが住んでいるだけだったという。だが、台風ですべてを失った人たちが土地を売って川の上に家を建てて生活するようになり、今では360世帯まで膨らんだ。いつ川に落ちて流されてもおかしくない生活をしているこの水上集落を、岸の人たちは「危険な村」と呼んでいる。

 第7水上集落には現在およそ50世帯が暮らしており、魚や海老を売る店、雑貨屋やガソリンスタンドのほか、家電を売る店、食堂、更には飲み屋やカラオケ店もある。50歳のチーさんという食堂の女主人は、自分の境遇をこう話してくれた。「故郷はドンタップ省のカンボジア国境近くで、家が貧しくて、生きるすべを探してここに流れ着いたの。ここでもやっぱり貧しいけれど、食べるのに困るようなことはないわ」。チーさんによると、今の家を建てるのにおよそ1億ドン(約49万円)かかったというが、陸地であればとても家など持つことはできない。

 この村落で爪の手入れを生業にしているホンさんは、台風で夫を失い、一人でここにやってきた。彼女と話している周りで、学校に通ったことのない子供たちが、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら踏み板の上を行き来する。ハラハラしながら見ていると、チーさんが笑ってこう言った。「子どもが川に落ちるなんてしょっちゅう。落ちたら誰かが引き上げてやるから心配ないわよ」。

 しかし、この2年ほどは、新しい家が建つことはなくなってきた。建てる場所がないというだけでなく、水かさが増して建てるのが困難になったからだ。その一方で、水面の値段は上昇傾向にあるという。地方行政はこの状況を食い止めるべく、新しい集落の形成を禁止している。チャンバントイ県では、今後5年以内に水上生活世帯を陸上に移住させる予定で、彼らのために再定住地を用意している。

前へ   1   2   3   次へ
[Lao Dong, 8:41 AM, 24/04/2013 S].  © Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved. 
※VIETJOベトナムニュースは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。 免責事項
新着ニュース一覧
米クアルコム、ベトナムに大規模AI研究拠点設立へ 世界3か所目 (18日)

 米国の半導体大手クアルコム(Qualcomm)は16日、ハノイ市で行われたグエン・チー・ズン副首相との会談で、ベトナムに人工知能(AI)分野の大規模な研究開発(R&D)センターを設立する計画を明らかにした。  同セ...

世銀とアジア開銀、インフラ・環境改善に500億円超の融資 (18日)

 ハノイ市ナムトゥーリエム区の国家会議センターで16日夜、ベトナムにおける3件のプロジェクトを対象とした世界銀行(WB)とアジア開発銀行(ADB)による総額約9兆2399億VND(507億円)の融資・支援契約が締結された。...

モバイルマネー、試行期間を25年末まで延長 (18日)

 政府は15日、少額取引決済向けのモバイルマネーの試行期間を延長する決議第87号/NQ-CPを公布した。  ベトナム国家銀行(中央銀行)から承認された企業は引き続き、2025年1月1日から2025年12月31日まで、モバ...

ベトナム戦争の孤児ら乗せた米軍機「ベビーリフト」墜落から50年 (13日)

 2025年4月4日、ベトナム戦争末期の米軍による「オペレーション・ベビーリフト」の航空機墜落から50年を迎え、墜落現場となったホーチミン市12区ブオンライ(Vuon Lai)通りで追悼式が行われた。  「オペレー...

ライオン、医薬品・医療機器の地場メラップを100%子会社化 (18日)

 ライオン株式会社(東京都台東区)は、ベトナムの持分法適用関連会社で、医薬品・医療機器の製造販売を中心とした企業グループの経営戦略・経営管理事業を展開するメラップライオン・ホールディング(Merap Lion H...

フェニカー大学を格上げ、「構成大学と学部を傘下に置く大学」に (18日)

 レ・タイン・ロン副首相はこのほど、フェニカー大学(Phenikaa University、ハノイ市)を、「構成大学と学部を傘下に置く大学」に格上げする決定に署名した。  今回の格上げにより、フェニカー大学は学部を再...

タンソンニャット国際空港、第3旅客ターミナル開業 (18日)

 ベトナム空港社[ACV](Airports Corporation Of Vietnam)は4月19日、4月30日の南部解放・南北統一50周年の記念日に合わせて、ホーチミン市タンソンニャット国際空港の第3旅客ターミ

首相、30年までの国家電力開発計画の調整を承認 第8期電力計画 (18日)

 ブイ・タイン・ソン副首相は15日、「2021~2030年国家電力開発計画及び2050年までのビジョン(第8期電力計画=PDP8)」の調整を承認する首相決定第768号/QD-TTgに代行署名した。  同計画は、経済社会発展に必...

1~3月期の訪日ベトナム人18.8万人、3月までの累計で過去最高記録 (18日)

 日本政府観光局(JNTO)が発表した統計によると、2025年3月の訪日ベトナム人の数は前年同月比▲5.0%減の6万4100人だった。  1~3月期では、前年同期比+9.3%増の18万8200人となり、3月までの累計で過去最高を...

1~3月期の航空旅客数2070万人、コロナ前超え (18日)

 ベトナム航空局(CAAV)によると、2025年1~3月期の航空各社の旅客輸送量は前年同期比+9.2%増の約2070万人となった。内訳は、国内線が同+5.4%増の約900万人、国際線が同+12.3%増の約1170万人で、いずれも前年...

6.6万人が参加した売春斡旋ルート、元締めの27歳男に禁固15年 (18日)

 ホーチミン市人民裁判所は14日、メンバー6万6000人近くの売春斡旋ルートを組織した元締めのグエン・フウ・タイ被告(男・27歳)に売春斡旋罪で12年、わいせつ物頒布罪で3年の計15年の禁固刑を言い渡した。  ...

3月の対日貿易収支、1462億円の黒字 前年同月比2.35倍 (18日)

 日本の財務省が発表した2025年3月の貿易統計(速報)によると、ベトナムの対日貿易収支は前年同月比2.35倍の1461億6900万円の黒字だった。  日本からベトナムへの輸入額は前年同月比+0.8%増の2482億0200万円...

日鉄物産、ビグラセラと工業団地販売代理店契約を締結 (18日)

 鉄鋼、産機・インフラ、食糧、繊維その他の商品の販売および輸出入業を手掛ける日鉄物産株式会社(東京都中央区)は、建設資材メーカーで工業団地開発大手のビグラセラ[VGC](Viglacer

ユーロチャム白書発行、EVFTA発効から5年の成果と課題 (17日)

 在ベトナムヨーロッパ商工会議所(ユーロチャム=EuroCham)はこのほど、「ユーロチャム白書」の2025年版を発表した。白書の発表は今回で16回目となる。  ユーロチャムはこの中で、ベトナムが引き続きグロー...

トウガラシやパッションフルーツなど、公式ルートで中国輸出 (17日)

 農業環境省は15日、ベトナムを公式訪問していた中国の習近平(シー・ジンピン)総書記 兼 国家主席の立ち会いのもと、中国海関総署(GACC)との間で、ベトナムのトウガラシ、パッションフルーツ、ツバメの巣、米ぬ...

©VIETJO ベトナムニュース 2002-2025 All Rights Reserved