(C)Tien phong、ロ・バン・オイさん |
この騒動がひとまず落ち着いた後、オイさんは残っていた約1億ドン(約49万5000円)を投じて掘削機などを購入した。再び金塊を掘り当てるつもりだった。しかし2度目の幸運はなく、生活が一気に苦しくなっていった。金塊を発掘した後、オイさんの家族はそれまで受け取っていた貧困世帯への補助金を止められた。今年は年収が100万ドン(約4950円)にも届かないため、村に何度か補助金の復活を申請したが却下され続けている。
掘削機が故障した2年ほど前から、オイさんは金の採掘をあきらめ、夫婦で畑仕事をしている。畑まで遠いため、子供2人を祖母の家に預けて週末だけ家に帰る生活だ。オイさんの妻イエンさんは「今の生活は貧しいけれど、人から施しを求められたり、やっかみから家にいたずらされたりするよりよっぽどマシです。他の人と同じように静かに暮らしたいだけです」と語る。
しかしこのささやかな希望も、農産物の不作でかなえられそうもなく、建て替えたばかりの家を売ることを考えているという。「金塊を発掘しなかったほうが幸せだったかも」と言うのがオイさんの今の正直な気持ちだ。