(C)tin moi, 遺体と暮らすモン族 写真の拡大 |
ベトナムには、葬儀にまつわる独特の風習を持つ地方がいくつかあるが、その中でも驚きの風習についていくつか紹介しよう。
東北部タイグエン地方の山岳部に住むバナ族とジャライ族には、「ゾ・トム・アミ」と呼ばれる風習がある。出産時に母親が死亡した場合、生まれた赤ん坊も一緒に葬ってしまうというものだ。
また、授乳期間が終わらないうちに母親が死んでしまった場合も、その子供は生き埋めにされるか、森に捨てられる。森に捨てられれば自力で生きることは不可能だ。赤ん坊の父親がこの風習を望まなくても、周囲の人たちの強い圧力で従わざるを得ないのだという。
この風習の始まりは定かではないが、恐らく山岳部の生活が厳しく、母親を失った乳飲み子が生き延びる可能性が極めて低いことから、「あの世で母親に面倒を見てもらったほうが幸せ」と考えられるようになったのだろう。この時代錯誤の風習により、今もなお犠牲になっている赤ん坊がいる。