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線香の製造・販売を手掛けるフンギ社のチャン・フオン・アイン社長は、現在30歳の青年実業家だ。アインさんは米国に大学院留学し、シリコンバレーのIT業界で働いていたという異色の経歴の持ち主でもある。
アインさんは米国での勤務経験を買われて、ベトナムに帰国した際、アンチウィルスソフトウェア「ビットディフェンダー」のベトナム代表に就任し、活躍していたこともある。その立場を投げ打って、線香作りを始めると決めた時、紅河デルタ地方タイビン省の田舎で暮らす両親は激怒したという。
なぜ成功していた仕事を捨てて、突然方向を変えたのか? アインさんは「突然ではないし、間違った選択だとも思っていません。これは縁だと思います。子供の頃から、家の近くにあったケオ寺の静けさの中で、鐘の音を聞いたり線香の香りを嗅いだりすることが好きでした。学校に行くようになって、欧米人にできることなら自分にもできると留学も果たして働いてきました。でも、ケオ寺や線香の香りが懐かしくてたまらなくなりました」と話す。