(C) Nguoi Lao Dong, Khanh Linh 写真の拡大 |
しかしドンさんにとっては、子供を1日でも長く生きながらえさせることが自分の生きる力だった。毎日市場の掃除や荷物運びなどの重労働をこなした。薬代が足りなくなると、病院に行き血液を売った。2か月半に1回しか採血できない規則だが、1か月に4~5回売血したこともあるという。
ドンさんは今ニャッタン市場で茶店を開いているが、HIV感染者を助ける仕事もしている。20年以上前のことだが、近所の家の男性がHIVに感染しエイズの最終段階にあった時、男性の家族がドンさんに世話を頼みに来た。彼女はすぐに引き受けた。「男性は息子と同い年で遊び友達だった。不幸な運命を分かち合うのは当然と思った」とドンさん。
その後、ドンさんにHIV感染者の世話を頼む家族が増えていった。全身に発疹のあるエイズ発症患者の入浴を手伝った時のことを今でもよく覚えている。ドンさんが素手でいるのに、患者の父親は注意深くゴム手袋を付けていたという。
ドンさんはHIV感染者の世話だけではなく、エイズで死亡した人の遺体を洗い清めて布で包む仕事も引き受けている。この20年余りの間に接した遺体の数は数百体に上るが、この仕事ではお金を一切受け取っていない。