(C) Nguoi Lao Dong, Khanh Linh 写真の拡大 |
ハノイ市トゥーリエム郡ドンガック村に住むブイ・ティ・ドンさんは、かつて人生に絶望して自殺しようと思ったことがある。2人の息子が麻薬に溺れてHIVに感染したからだ。それでも彼女はめげなかった。息子と同じ境遇のHIV感染者の世話や、エイズで死亡した人の遺体を布で包む仕事を引き受けている。
1980年代の前半、ドンさん夫婦は子供を育てるため2人で共働きしなければならなかったが、ホン川(紅河)沿いの小さな家で幸せに暮らしていた。ところが、成長した長男は家計を助けようと働きに出たものの、ほどなくして麻薬中毒になってしまった。何度も治療を試みた後、長男がHIVに感染していたことが分かった。
さらにそれからたいして間をおかず、次男も長男と同じく麻薬に溺れていることを知る。ドンさんが絶望に沈んでいる中、夫は責任を放棄し妻子を捨てて消えてしまった。
ドンさんは当時を「朝は中毒患者の治療施設にいる長男を見舞い、午後には家で次男の世話をした。夜は一人で泣いていた」と振り返った。次男もHIVに感染していたことを知ったときは、気を失いかけたという。その後長男は亡くなった。