(C) Lao dong, Son Lam 写真の拡大 |
なぜそこまで人に優しくできるのかとの問いに、ソンさんは「両親の影響でしょう」と笑って答えた。ソンさんの父親は医師で、貧しい人からは治療費を受け取らなかったという。母親は80歳を過ぎているが今も元気で、地元の人々に竹工芸を無料で教えている。「私にとっては、困難な状況にある子供たちを育てることこそが何よりの喜びです」とソンさん。
30人の子供を育てることは、彼らが健康であっても大変だが、センターの子供たちは身体や精神に障害を持っていたり、病気を抱えていたりする子が多い。重病にかかった子供の入院費を工面するために、大切な財産を売ったこともあった。しかしソンさんはそんなことにめげるどころか、かえって決意を新たにするという。
センターでは、子供たちに職を身につけさせ、運営費の足しにするため、地元の農民協会や篤志家の支援を受けてミシン20台を導入した。子供たちが作った買い物袋の販路も目処がついている。
ソンさんは、今日のがんばりは必ず報われると考えている。病気で寝込んだ時、子供たちが心配して世話をしてくれると、とても幸せを感じる。ソンさんに育てられ、今では一人立ちしたかつての子供たちも、ソンさんへの感謝の気持ちを忘れていない。24歳のトゥンさんは、右腕の半分がない。「お母さん(ソンさん)のもとで暮らすようになってから、人生の意義や喜びを感じるようになりました。助けてくれた恩に報いたいと思っています」と語った。