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ベトナムの人々はミスコンテストに興味を持っている人が非常に多いが、それはミスコンテストが世界的に注目度が高いものだと思い込んでいるからではないだろうか。最近、ベトナムはミスワールドやミスアース、ミスインターナショナル、ミスユニバースなどのコンテスト開催権を得ようと必死になっている。
11月3日に中国でミスワールドコンテストが開催され、米国代表がミスワールドに選ばれた。しかし、このミスコン後半日経っても米大手メディアであるCNNやニューヨークタイムズ、BBC、CBSがこのことをメディアで伝えることはなかった。唯一、ABCニュースのウェブサイトにはミスワールドに関する記事があった。しかしその扱いは非常に小さく、内容も簡単なものだったにもかかわらず、ウェブサイトの読者のコメント欄には、こんなくだらない記事を掲載するのは止めてくれと記事を非難するコメントが寄せられていた。
打って変わってベトナムでは、大手オンラインメディア5社がウェブサイトのトップページでミスワールドを扱い、米国代表の詳細や写真を掲載した。ベトナムではミスコンの予選から報道し、参加者のスリーサイズ、履歴、家族構成、写真集などを繰り返し取り上げた。こうしたメディアの影響から、元来好奇心旺盛なベトナム国民は、ミスコンテストは世界各国でも大注目されているイベントに違いないと思うようになっているのだろう。
ベトナムでは世界的なミスコンのベトナム代表を決定するミスベトナムのほか、ミスハノイ、ミスワールドベトナム、ミスメコンデルタ、ミス少数民族、ミスティーン、ミセスワールド、ミスオーシャン、ミススポーツ、ミスジュエリーなど、数えるときりがないほど多数のミスコンがある。ミスコンに参加すること、或いは何らかの賞を受賞することは一種のステータスとなっている。2008年にはミスベトナム受賞者がこのステータスを手に入れるために学歴を詐称していたことが発覚し非難の的となった。
近年、ミスユニバース機構やミスワールド機構がミスコンテストの開催地としてベトナムに注目している。これについて、欧米諸国でミスコンテストへの関心が薄れてきていることから、ミスコンを維持するために、ミスコンへの注目度が高く1つのステータスとして重要視されているベトナムが注目されているのではという意見も一部では出ている。また、こうした理由によりミスコン開催地に選ばれてもベトナムのイメージアップには繋がらないと指摘する声もある。
その一方で、ミスコンが社会的に大きな意義を有するという意見もある。11月にHIV・エイズ感染者が参加するミスHIVがテレビで放送され、多くの視聴者の感動を呼んだ。このミスコンは、HIV・エイズに感染した女性たちが自分に自信を持って生きる姿や、生き生きと社会活動に参加する姿を伝えたことで、HIV・エイズに対する差別や偏見をなくすための社会的な前進に貢献したと評価されている。