ベトナムでは今、南シナ海で操業中だった漁業関係者を中心に死者・行方不明者300名以上を出した台風1号(アジア名:チャンチー)の進路予測問題に揺れている。
ベトナムにおける台風の進路予測の更新頻度は非常に遅く、他の国と全く異なっているとの意見が数多く寄せられた。その具体的な違いとは・・・。今月(5月)12日、チャンチーがフィリピンを通過している時点で、香港の気象庁はこの台風が今後ベトナム方面ではなく、海上を北上するとの予測を出していたにもかかわらず、ベトナムの気象台は14日になってチャンチーが海上を北に進むのではなくベトナムに上陸するとの誤った予測を出していた。
その後、香港の気象庁の13日の予報ではチャンチーは引き続き北上を続け、台湾と海南島の間を通るとされていたが、15日午前3時半のベトナムの予測ではチャンチーがそれより西よりの海南島を直撃することになっていた。
そして、同日午前9時半、ベトナムの予測に突然大変化が起きた。午前3時半の予報と9時半の予測におけるチャンチーの進路は全く異なっていたのだ。実際問題として台風がこのように急に進路を変えることはありえず、これはこれまでの外れ続けてきた予測の帳尻を最後だけ合わせただけの全くお粗末なものだった。
その後ベトナムが最終的に発表した進路は、他の国が何日も前から発表していた進路と同じであった。300名以上が死亡、行方不明になった原因がここにあるのだとしたら、ベトナムにおける気象予報の意義そのものが疑問視されて然るべきである。