ある住宅施工業者が「4軒の建設を請け負えば1軒分は丸々自分の取り分にできる。」と明かすように、詐欺行為によって建築費の30%をも自らの懐に納めるような悪徳な施工業者が後を絶たない。
ホーチミン市ビンタイン区のMさんの場合は施工業者の用意した契約書に騙された典型例である。業者が勝手に自分の意図と異なった資材を用いていることを発見したMさんは、工事のやり直しを求めたが聞き入れられなかったため、裁判所に訴え出た。しかし、契約書は"資材調達についてはオーナーが責任を持ち、業者は工事のみ行う。"という前提で作成されていたため、オーナーであるMさんが資材について業者を訴えるという行為そのものが認められなかった。そればかりかMさんは一方的に契約を破棄したとして逆に業者に損害賠償責任を問われることとなり、肝心の建設中の家は既に1年以上も野ざらしになっている。
この他にオーナーから指定された物より安い資材や少ない材料を用いることによって浮いた経費を自らのポケットマネーにするような例も多く見られる。通常、数十年は耐え得るであろう住宅に対する保証期間は僅か1年間であり、この期間を過ぎれば業者は一切の責任を問われない。また、たとえ住宅の耐久年数の減少が、業者による資材の誤魔化しなどの詐欺行為によるものだとしてもその因果関係を立証することは非常に難しい。
契約書の些細な条項も見落とさず、工事中は頻繁に現場に足を運ぶ等、オーナー自らが警戒心を持つことが肝要であると言えよう。