ベトナムは現在40の国と地域に毎年5万人の労働者を派遣している。ベトナム人労働者の積極性、専門技術習得の早さは各国の企業に高い評価を受けているが、ベトナム人の規律性の低さが労働力輸出事業発展の障害となっている。
日本や韓国ではスーパー•デパートなどで衣料品、化粧品、腕時計、カセットデッキなどを万引きするという事例が多い。彼らはこれを国へ持ち帰って売るつもりなのだ。日本の自動販売機で韓国のウォン硬貨を使用する、偽造テレホンカードを他の労働者へ販売する、といった事例も報告されている。
ベトナムの労働力輸出企業は、このような事態を予防するため、上記のような犯罪行為を行った場合は逃亡したと同様にみなし、さらには強制送還の上、現地の法律によって裁かれる場合もあると契約書に明記するようになった。
労働者に法律の知識が欠けていることも問題だ。マレーシアでは違法に酒を醸造することが禁じられているにもかかわらず、13人のベトナム人労働者が酒を密造し一時拘束された。
契約書にもとから8時間労働と書かれていたにもかかわらず、仕事に慣れるまでの期間は7時間半だけ働いていたがために、8時間労働となった後で増えた時間分だけ賃金を払えとストライキを起こし、ベトナムに強制送還された事例もある。
このように問題が生じている原因は、企業が眼前の利益ばかりを追求し、労働者教育を疎かにしていたということと考えられる。労働力輸出企業は労働者を外国へ派遣する前に労働者の教育を行うべきではないだろうか。