ハノイ、ホーチミンなどの都市部ではますます英語教育の重要性をが認識されてきており、これまでの大学付属の語学教室にとって代わり外国人講師が教える英語学校に行くことが若者の間で大人気となっている。
ハノイ市では以前であれば中、高校にはハノイ外国語大学やハノイ師範大学付属の語学教室分校が設置されており、そこに通う生徒が多かったのだが今では生徒がなかなか集まらないと言う状況である。その代わりにAIC, NewStar, Cambridge, Oxfordなどの外資系英語学校が人気となっている。
しかし英語学校の学費はこれまで主流であった大学付属語学教室の場合が10~30万ドン/月であるのに対し、70~100ドルとベトナム人の収入からすると安い金額ではないが、これほどまでの人気の理由とはなんであろうか。
英語学校に通っている多くの学生がこの疑問にこのように答えている。「いつも内容がしっかりしていて、理論的な勉強よりも会話などの実践的な授業が多いから上達も早い」、「外国人講師の授業では語学の勉強になることはもちろんだが、風習や文化についても質問して直接答えてくれ勉強になる。
さらにこのような英語学校のほとんどが外資系企業が経営しており資金力もあり常に最新の教材や、TV, DVD、インターネットをなどを積極的に利用し授業を行うためさらに人気に拍車をかけている。その一方語学教室の方はと言うとそのほとんどが小学校を教室を間借りして開講しており、室内設備もほとんどないといってよく、また教材も古く以前からずっと同じ教科書で教えているというところも珍しくはないという。
しかし、このような英語学校人気の中その効果に疑問を投げる学生もいる。外国人講師による外国語だけによる授業を目玉とするある英語学校では講師の説明がよく理解できない生徒が多く出ており、高い学費を払ってもついてゆけず途中で止めてしまう生徒が増えていると言う。
またあるNewStar英語学校の生徒は、多くの外国人講師の教え方はほとんど教材に基づいていなく、学生と身近に接することで効果をあげようとしているとその教授法に疑問を持っているという。またこの生徒は入学当初はとても面白い授業だと思ったけど、だんだん授業についてゆけないようになり、外国人講師が英語で説明をすればするほど私には理解できなく結局ベトナム人講師が外国人講師の説明をするクラスに移ったと話してくれた。
このような英語学校全盛のベトナムであるが“100%外国人講師”や“英語のみでの教授法で効果をあげる”などの謳い文句に惹かれ、さらに外資系英語学校への通学が一種のステイタスにもなっていることから、高い学費を払ってまで入学する生徒が急増しているが、授業についていけず退学する生徒も同じく急増している。
自分自身の能力に合わせた学校選びと、外国人講師が教えるから効果があるに違いないという他力本願的な取り組み方では上達するにもおのずと限界が出てくるだろう。言うまでもなく語学習得の鍵は目標を定め、モチベーションを維持し継続的に続けてゆくことだが、流行、ステイタスが絡んでくるとどうもそういう基本を見失いがちになるようである。