越僑シリーズ:オーストリアで生きる1より続く
---ウィーン市内のベトナム食材店・レストラン---
オーストリア国内にアジア食材を扱ったスーパーマーケットはたくさんあるがその中でベトナム人が経営するスーパーは市内Favoriten通りにある1軒のみである。このスーパーはホーチミンから1988年に移住したTuyet Van夫婦が経営し今年で10年目になる。しかし現在ここで売られているMade in Vietnamの商品は数えるほどしかなくVifon社のインスタントヌードルが他のタイ産インスタントヌードルと同じ価格(29セント=約6000ドン)で売られているほか、フーコック産ヌクマムやハノイ、フエ特産の発酵食品などもあるがどれも売れ行きはよくない。
店主のVanさんは、数年前までは多くのベトナム食料品やベトナム語新聞まで航空便で仕入れ売っていたが、ベトナム食品はタイや中国食品に比べると売れ行きが伸びず、同スーパーではやむなく徐々にタイや中国食品の比率を高め現在では約80%がタイ製品だという。
さらにウィーン市内には中華レストランや中華-ベトナムレストランは約200店あるが、そのなかで純粋なベトナムレストランと呼べるのは市内第15区Marz通り29番地にある「Good Morning Vietnam」だけであろう。レストランに一歩入るとベトナム人なら誰でも故郷を思い出さずにはいられない。案内カウンターは竹で作られ、小さい菅笠がランプシェードになり、壁にはベトナムの観光名所の写真が掲げられている。また店内にはCam Lyが歌う南部の民謡が流れ、さらに店内の隅にはVanさんがThai Nguyen地方からわざわざ持ち帰ったベトナム少数民族の楽器T’rung(木琴を縦にしたような楽器)が置かれている
このレストランではCha ca La Vong(雷魚炒め料理)、Bun bo Hue(フエ特産の米粉麺)、豚耳の和え物、空芯菜のスープなどのベトナム各地の料理を1皿2.5~11ユーロ程度で楽しめる。ここでは料理長から皿洗いまでをオーストリア在住10年以上の店主のGiangさん自身が務めており、その他奥さんのHanhさんと従業員のLoanさんが手伝い、その時もアオザイ姿で笑顔でお客を迎え入れていた。<続く>