まもなく旧正月が近づくこの時期は結婚披露宴予約をする若者で会場はどこも予約を受け付けられないほどの活況を呈している。以前は両家の懐具合に応じて自宅で披露宴を済ませる場合も多かったが、近年の経済発展につれ、地方から出稼ぎにきた若者が増加しそれに伴いホーチミン市など都市部での結婚式が増加している。
これらの出稼ぎ者は通常新郎、または新婦が地方出身者の場合田舎へ戻り結婚式、披露宴を行なうが、その後ホーチミン市で再び同僚などを集めて2回目の披露宴を行なう場合がほとんどで、これら出稼ぎ組の結婚増加がこのような結婚披露宴産業が発展している理由の一つに挙げられる。
また、この他に最近4,5つ星ホテルでの高級披露宴にも人気が集まっている。以前これらのホテルは主に外国人、または富裕層が対象であったが、最近では中産層にまでその対象が広がっている。現在年末まではどのホテルも土曜日、日曜日の予約は受け付けられない状況で、ある高級ホテルの披露宴担当者はこの先来年3月まではほぼ予約で埋っており、このような状況下では急な予約には対応できず丁重に断るしかすべがない状況だという。
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フエ出身で現在ホーチミン市に住んでいるVinhさんにある時田舎の家族から急いで年内に結婚式・披露宴を済ませたほうがいいという内容の電話があった。
Vinhさんが府に落ちないでいると、家族がVinhさんの結婚を急かすのには理由ると説明した。それはVinhさんのお祖父さんが病に付しておりそろそろ危ないというのだ。ベトナムでは身内が亡くなった場合、喪に服し3年間は結婚式を挙げられないことになっているので、家族はなるべく早いうちに結婚式を挙げるように告げたのであった。
Vinhさんは会社の副社長をしており、相手も国営銀行で働いており資金的には問題なくVinhさん自身も急な結婚準備も難無くこなせると思っていた。ところが、披露宴の予約を入れようとレストランに電話すれどもどこも返ってくるのは「予約で一杯です」の一言だけであった。困り果てたVinhさんは今度は4-5つ星ホテルにも電話を入れたが丁重に予約状況を説明されただけで予約を入れることはできなかった。
特にある5つ星ホテルでは来年(2005年)1月から9月まではすでに予約で一杯で来年予約分だけでも既に今年1年間の売上を超える勢いで、またある他の5つ星ホテルでは現在一時的に披露宴の受付を停止しているところさえあるという。
披露宴ブームの理由は?
このような披露宴産業大盛況の裏には様々な理由が存在する。まず前述した地方からの出稼ぎ組の結婚件数が増加し、これまでのように田舎で済ませる以外に勤務地である大都市で2回目の披露宴を行なっていること。さらに、経済的に余裕が出てきたため披露宴会場を自宅で行なっていた層がレストランなどの披露宴専門会場を利用するようになり、さらに中産層ではホテル内での高級披露宴を選択することが多くなってきたことにもよる。
さらにブームには企業側の努力もある、現在多くの披露宴専門レストランなどでは披露宴にバンド生演奏、レーザー光線、ドライアイス、フラワーゲート、高級車での送迎などを導入しているほか、ウェイター・ウェイトレスの質の向上、バイキング方式など新しい形態でのサービスや新郎新婦に新婚旅行をプレゼントするなど集客に努めている。
しかし、このような披露宴産業の盛況ぶりには新郎新婦による結婚披露宴に対する「見栄」という要素も多分に見られる。ホテルなどの高級披露宴会場を選択する新郎新婦の中には自らの経済事情に相応でない場合でも背伸びをしてこのような会場で披露宴を行なう場合も少なくない。
普段めったに行くことのない5つ星高級ホテルでの結婚披露宴。会場が高級だからといって皆が持参するお祝い金が増額されるわけでもなく、皆に祝福され幸せなひと時を過ごした後の新しい門出を迎えた2人の肩には重たい借金がのしかかるといったことも珍しいことではないようである。
(ベトナム情報市場、参考:Sai Gon Giai Phong)