密輸携帯電話販売が横行する中、これらを防止するため郵政通信省決定により2005年1月1日から携帯電話へ適合品を示す証紙貼付が義務付けられている。
しかし義務付けから1ヶ月半、同省では既に15万枚の証紙を販売したとしているが、現在販売されている携帯電話には1台もこれらの証紙が貼付されていないという。
これはどういうことだろうか、関係者の話からその原因を探る。
Nokia社製とSumsung社製携帯電話の総販売代理店・FTP社のHoang Nam Tien社長によると、この証紙貼付に関しては義務付け決定前から問題が指摘されているという。それは貼付が義務付けられているのは携帯電話内の電池収納部であるが、最新の携帯電話ではその収納部自体が小型化して貼付する場所がないということだ。
またTien社長によると、郵政通信省は証紙を1枚2500ドンで販売しており、FPT社のように年間販売台数が50万台規模となると、その金額だけでも2500ドン(約16.7円)×50万=12億5000万ドン(約835万円)にもなり、またそれだけの台数に貼付する人件費もばかにならないという。
さらに販売代理店Thuan Phat社のPhuong社長によると、この証紙貼付は密輸防止にはまったく効果がないと言い切る。これまで密輸品が横行していたのは正規品の輸入関税が高いためで、密輸防止効果には関税引下げが最も効果的であると話す。
密輸防止証紙の印刷代が1枚あたり400~500ドン(2.7円~3.3円)、それを郵政通信省が2500円(約16.7円)で販売している。現状では証紙が貼付されていない携帯電話の取り締まりは全く行われておらず、密輸品が依然横行している。このような状況から、販売代理店側では証紙貼付義務付けの目的は、実は密輸品防止ではなく、単に証紙販売による郵政通信省の収入増が目的ではとの声が上がっている。