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- SNSで動画拡散、尊敬のコメントが多数
- 最大の財産は仕事の相棒である古いバイク
- 不幸だと感じたことはなく仕事が生きがい
年をとっても子供や孫には迷惑をかけたくないと、グエン・ティ・ゴック・アインさん(女性・65歳)は昼夜を問わずバイクを走らせ、生計を立てている。骨折するような事故にも何度も遭ったが、それでも仕事は辞めない。
SNSで最近、女性シッパー(配達員)が、小額の紙幣を一枚一枚、ビニール袋に丁寧に入れる様子を映した動画が拡散された。
50万回近く再生されたその動画には、数万件のリアクションがあり、高齢にもかかわらず自分で生計を立てていることに尊敬の念を示すコメントが多い。実際にこの女性に配達してもらって話をしたこともある、と経験談をシェアする人も少なくない。
動画の女性、アインさんは、ホーチミン市ビンタイン区グエンバーザオ(Nguyen Ba Giao)通りに住んでいる。自分が世間の注目を集めていることに驚きつつ、ここ数日、多くの人が助けに来てくれたと語った。年を取り、テクノロジーには疎く、SNSも使わないため、なぜこんなにも多くの見知らぬ人が自分のことを知っているのか理解できなかったという。
配達の仕事をして20年余りになる。以前はビンタイン区で小さなボットチエン(揚げ米餅の卵とじ)屋を営んでいた。しかし商売はうまくいかず、店をたたんでバイクタクシーのドライバーをし、近年は配達の仕事をしている。
夫を亡くしてからは、子供や孫には迷惑をかけたくないと、1人で生きていくことにした。毎日8時には仕事を始め、帰宅は20時ごろ。1日の収入は約20万~30万VND(約1270~1910円)で、ここからガソリン代や食費、毎月の家賃160万VND(約1万円)が出ていく。
「バイクを運転する仕事は、年を取ると、特に重い物を運ぶときに大変です。何度転んで、手や足を骨折したでしょうか。でも回復すれば仕事に戻ります。私の年齢を見て、お代を多く渡してくれるお客さんもいます。とてもありがたいです」とアインさんは言う。
本来なら、リタイアしてゆっくり過ごすべき年齢だろうが、アインさんは毎日一生懸命、働いている。彼女が持つ最も大きな財産は、何十年もの仕事の相棒である古いバイクだ。
そんなアインさんだが、不幸だと感じたことはなく、仕事が生きがいだという。「私にとっては、自分で稼ぐことが大切なんです。ブンボー(bun bo=牛肉の米粉麺)屋を開くのが夢でしたが、まだ資金が足りません。その夢を実現できないなら、働けなくなるまで配達員を続けるつもりです」とアインさんは話した。