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南中部沿岸地方ビントゥアン省ハムタン郡(huyen Ham Tan)で12日午後10時ごろ、冷蔵トラックの荷台に隠れて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の震源地であるホーチミン市からの脱出を図った15人が発見された。映画さながらの脱出劇は、当局の摘発により、あえなく失敗に終わった。
同郡の交通警察は、パトロール中に不審な冷蔵トラックを見つけて検査したところ、荷台から7歳児を含めた15人のベトナム人と大量の荷物を発見。警察はその後、15人を迎えるため、近くのガソリンスタンドで待機していた別の乗用車2台も特定した。
捜査結果によると、15人は北中部地方ゲアン省、同ハティン省、同クアンチ省の出身で、その大半は面識がない赤の他人同士だった。いずれも新型コロナの国内第4波で深刻な被害が出ているホーチミン市に住んでいたが、社会隔離で身動きが出来なくなる中、帰省のために脱出を試みた。
仲介人を介して、12日に東南部地方ドンナイ省ビエンホア市にあるスーパーマーケット「ビッグC」前で合流し、7人乗りの乗用車2台に分かれて北進。ドンナイ省のロンカインバスターミナルで、国道1号線の検問所を通過すべく、グリーンライン扱い(貨物検査が不要)の冷凍トラックに乗り換えた。
冷凍トラックは約50km進んだところで、検問所から約2km離れた食堂の前に停車。パトロール中にこれを見つけて不審に思った交通警察が冷凍トラックの荷台を検査し、15人を発見した。警察によると、発見時、荷台の中はエアコンがついておらず、内部は蒸し風呂のようだったと推測される。なお、15人はいずれも新型コロナ検査の陰性証明書を所持していた。
冷凍トラックの運転手レ・バン・トゥアンさん(男性・39歳、ビントゥアン省ハムトゥアンナム郡在住)は事情聴取で、乗用車の運転手に頼まれて1人につき70万VND(約3400円)の報酬で荷台に15人を乗せたと語った。一方の客らは冷凍トラックに乗り換えが必要だとは知らなかったとしている。
運転手と客はいずれも新型コロナ対策に違反しているが、ビントゥアン省当局は客らの境遇を考慮し、15人が帰省できるよう出身地の各当局と協力して車両を手配する方針。15人はその間、ハムタン郡の隔離施設に収容される。
なお、ビントゥアン省当局は、新型コロナ対策に違反したとして、冷凍トラックの所有者に1500万VND(約7万2000円)、乗用車の所有者にいずれも750万VND(約3万6000円)の罰金をそれぞれ科した。