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一部のベトナム語サイトがこのほど、日本からの一大ニュースとして「2019年11月1日から日本政府が生得市民権を認め、ベトナム人の母親が現地で産んだ子供は自動的に日本国籍を取得できる」などと、あらぬ噂をまことしやかに報じており、人々を混乱させている。
これらのサイトでは、ベトナム人女性が日本で子供を出産した場合、子供が日本国籍を取得できるだけでなく、出産祝い金として100万円が支給されるとしており、日本がこの措置を講じたのには、少子高齢化が進んでいることが背景にある、とそれらしい解説付きで記事にしている。
殆どの読者は、このニュースを根も葉もないデマだと見破っているが、中には事実と誤認してしまった人もいたようだ。ベトナム国内でこのようなフェイクニュースが流れている背景には、英国で最近発生した冷凍コンテナ39人遺体発見事件が関係していると考えられる。この事件ではコンテナの中から39人もの遺体が見つかったが、この大半がベトナム北中部地方ゲアン省とハティン省からの密航者と見られており、国内では移民問題に対する関心が非常に高まっている。この事件の犠牲者には、かつて日本で実習生として働いていた者も含まれると報じられている。
このフェイクニュースは、米国政府が認めている生得市民権をもとに、記者が創作したフィクションだ。これは、米国の領土内で出生した場合、本人の両親の人種や移民資格を問わず、自動的に市民権が与えられるというもの。この制度を利用して、中国やベトナムの芸能人・富裕層が子供の米国籍を所得するため、渡米して現地で出産するという話は決して珍しくない。こうして生まれた子供は「アンカーベビー(anchor baby)」と呼ばれ、将来、親族が移住する際の保証人の役目を担う。
なお、今回フィクションニュースのネタにされた日本では最近、在日不法残留者数に関する統計が発表された。法務省出入国在留管理庁が発表した統計によると、2019年7月1日時点におけるベトナム人不法残留者数は1万3325人で、2019年1月1日時点の1万1131人と比べて+19.7%(+2194人)増加し、過去最高を更新したという。