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ホーチミン市1区グエンビンキエム(Nguyen Binh Khiem)通り29番地にある民家でこのほど、家主の留守中に以前の家主が警備会社のスタッフを雇ってこの住宅を奪い返そうとする事件があり、4区の裁判官とホーチミン市検察業務訓練校の講師の2人も「乗っ取り」に関与していたことが新たに分かった。この事件は大胆な手口で大きな波紋を呼んでいる。
被害に遭ったのは、この住宅の現在の家主であるH・T・T・Tさん(女性・36歳)。Tさんは2017年、H・T・A・Cさん(女性・37歳)から当時まだ建設途中だったこの住宅を購入し、取引額250億VND(約1億1700万円)のうち160億VND(約7500万円)を先払いした。
契約では、譲り主である元家主のCさんがこの住宅の建設手続きなどを済ませた上で所有権をTさんに移し、その際にTさんが残りの代金を支払うこととしていたが、Cさんは所定の手続きを行わなかった。これをめぐって2人の間で争いが生じ、Tさんは2018年4月に1区人民裁判所に対してCさんを提訴した。
裁判の判決はまだ下されていないが、Tさんが語ったところによると、Cさんが姿を消しており返金にも応じないため、Tさんは自腹で工事費などを支払ってこの住宅を完成させ、2019年3月に入居した。Tさんは今回の事件が発生するまで、この住宅で子供3人(生後4か月、2歳、3歳)と、従妹2人、家政婦2人と暮らしていた。
事件当日、Tさんが南中部高原地方ラムドン省ダラット市を訪れている間に、制服を身に着けた警備会社のスタッフ約15人と、4区の裁判官グエン・ハイ・ナムさん(男性・45歳)、ホーチミン市検察業務訓練校の講師ラム・ホアン・トゥンさん(男性・28歳)がTさんの住宅に押し入ってTさんの幼い子供らを家の外に追い出した。
裁判官のナムさんはTさんの子供たちを抱っこして連れ出し、タクシーに乗せようとしたが、子供たちの泣き声でこの騒ぎに気付いた隣人らが阻止し、無事に保護した。この時の様子を撮影した動画がインターネット上に投稿され、世間を揺るがした。
同事件について、ホーチミン市人民裁判所はナムさんに対して説明を求めている。警備会社のスタッフらは事件発生以降、地元当局の許可を得ることなくこの住宅に居座っており、1区警察も捜査を進めているが、難航しているようだ。