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現代ベトナム文学作家トー・ホアイ氏が6日、ハノイ市の自宅で死去した。享年95。長年病気を患っており、入退院を繰り返していたという。
ホアイ氏(本名グエン・セン)は1920年9月27日、現在のハノイ市ハドン区に生まれた。青年時代から教師や労働者、職人などを経験しながら、文学者を志していた。童話「コオロギ少年大ぼうけん」(De men phieu luu ky:1941年、日本語訳は2007年出版)がベストセラーとなった後、約60年にわたって長編・短編小説、童話、脚本など様々なジャンルの作品100編余りを世に残した。
インドシナ戦争中の自身の経験に基づく少数民族の抵抗を描いた小説集「西北地方物語」(Truyen Tay Bac:1953年、日本語訳は1962年出版)で文芸大賞を受賞。その他にも多数の賞を受賞し、現代ベトナム文学を代表する作家として国際的にも知られ、同氏の作品は日本語でも翻訳・出版されている。
特に「コオロギ少年大ぼうけん」は、ベトナム文学では誰も題材としてこなかった動物を主人公に描いた童話で、同氏の代表作となった。また、世界で最も多くの言語に翻訳されたベトナム文学作品でもあり、これまでに約20か国で翻訳・発行されている。