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21年前の1993年に、海外の冒険家らと共に竹製の船で太平洋横断を試みた唯一のベトナム人がいる。残念ながらこの冒険は失敗に終わったが、ルオン・ベト・ロイさん(55歳)は今でも当時の様子をよく覚えている。
アイルランド人の冒険家兼作家ティム・セベリン氏(74歳)のグループは1991年、ベトナム政府の許可を得て北中部タインホア省サムソン町でこの冒険の準備を始めた。ロイさんは翌年、竹船作りへの参加を求められ、約500本の竹とラタンの紐を使って6か月かけて全長20メートル、幅6メートルの大きな竹船を完成させた。
冒険は1993年5月、香港から始まった。台風に4度襲われ、別の船に衝突しかけたり、海賊に遭遇したりした。米国カリフォルニア州から約1000海里の海域まで到達したが、巨大台風の接近と船体の異常により、挑戦をあきらめざるを得なかった。しかし竹船での6か月の航海は人間の持つ力の証明になった、とロイさんは考えている。
この冒険の後、ロイさんは日本語を習い、いくつかの日系合弁企業で通訳として2008年まで働いて退職した。ロイさんは「竹船に乗船した唯一のベトナムになれたことを誇りに思います。ベトナム人は体は小さいかもしれませんが、勇気や知恵では他の国に負けません」と胸を張った。