(C)Tuoi tre,Dinh Dan、HCM市ビンタイン区のスラム街 |
望む望まないに関わらず、どんな都市にもスラム街と呼ばれる場所がある。多くの地方政府はスラム街の撤去を目標にしているが、都市はスラム街に暮らす人々で支えられてもいる。ホーチミン市もその例外ではない。11日付トゥオイチェー紙(電子版)が報じた。
ホーチミン市ビンタイン区のニエウロック運河沿いには、トタン板で作られた粗末な家がずらりと並んでいる。そんな家の一つに住むグエン・ティ・トイさんは、南中部クアンガイ省から12年前に夫とともに同市にやって来た。
トイさんはおこわを学生や勤め人相手に売り、夫は理髪店に勤めている。2人の稼ぎを合わせると1か月当たり1000万ドン(約3万8000円)の収入があり、生活費や2人の子供の学費などを支払った後、毎月100万~200万ドン(約3800~7600円)を貯金している。トイさんと同じ長屋には60人ほどが暮らしているが、皆中部の出身者だ。
ビンタン区のビンロック集合住宅に隣接するスラム街には数百人が住んでいる。こちらはいずれもメコンデルタ地方の出身者だ。ここではほとんどの人が、工場から原料を受け取り機械を使って輪ゴムを生産している。1人1日当たりの稼ぎは約20万ドン(約760円)だ。
各工業団地の周囲にはスラム街が広がり、労働者が暮らしている。市内14か所の工業団地・輸出加工区で働く約27万人の労働者の7割は地方出身者で、スラム街は彼らの生活の場となっている。
ただ、スラム街は常に撤去の対象として目を付けられている。前出のビンタイン区のスラム街に住むナムさんは「土地収用が実施されるとき、市に戸籍がある人は補償を受けられるが、地方出身者は路頭に迷うだけになる」と話した。このスラム街は13年前に土地収用令が出されているが、まだ実施されていないだけだという。
8区タウフー運河沿いのスラム街は2年前に撤去され、今は更地の状態だ。ここに住んでいた人々の多くは、それまでの仕事を続けるために近くに家を借りて暮らしている。補償金をもらってビンチャイン郡で家を購入したというチンさんは「家には親が暮らしている。仕事をするため、兄弟5人で近くに部屋を借りている」と語った。