ハノイ市ハーバーチュン区にある総合病院「108病院」では、年末から内視鏡手術支援ロボットを導入する予定だ。内視鏡手術支援ロボットによる手術は米国で1999年に開始され、今ではカメラと4本のアームを持つ第4世代のロボットが開発されているという。同病院外科主任のチエウ・チエウ・ズオン博士に話を聞いた。
――内視鏡手術支援ロボットはどのような手術に使われるのですか。
消化器疾患、婦人科疾患、泌尿器疾患、がん、心臓病など多くの手術で利用できる。特に心臓弁疾患や弁膜症の手術で効果を発揮する。従来の手術に比べ手術創が小さく、回復期間が短いなどの長所がある。
――短所はあるのですか。
一番の短所はこのシステムの価格が高いことだ。1000億ドン(約4億2000万円)はする。また、手術を行う医師には高度な手術技術やコンピューターの操作技術が要求される。
――ベトナムの現在の人材で、このシステムを使いこなせるのかと心配する声があります。
アジアでは2002年からシステムが導入され始め現在約60台が利用されている。しかしベトナムではこれが初めての導入となる。108病院では政府開発援助(ODA)資金でこのシステムを購入する予定だが、最初の2年間は外国の医療機関から借り受けて使用する。
優秀な人材はベトナムにも少なくないと思う。しかしもし導入に失敗すれば、裕福なベトナム人は外国に行って治療を受けられるが、その他大勢の人はこの医療サービスを受けられないことになる。
――このシステムを使った場合の手術費用はどのぐらいですか。
フィリピンでは1万ドル(約81万円)だが、ベトナムでは5000~8000ドル(約41万~65万円)を予定している。金額は手術の複雑さによって異なる。