中国共産党機関紙・人民日報によると、中国国家発展改革委員会はこのほど、同国広西チワン族自治区の防城港市での原子力発電所建設案件(第1期)を承認した。今月末にも着工される予定。建設場所は中越国境の北部クアンニン省モンカイ市から約60キロメートルの地点で、ここに1基当たりの出力1000メガワットの原子炉6基を建設する。第1期では原子炉2基を建設、2015~2016年ごろ運転を開始する予定だ。
これについて、ベトナムの科学技術省放射能・原子力安全局のゴー・ダン・ニャン局長は「重大な事故が起きた場合はベトナムのみならずアジア全体に影響が及ぶ。しかしチェルノブイリの原発事故以降、このような事故が起きる可能性は少ない」と述べた。商工省エネルギー部のタ・バン・フオン部長やダラット原子力研究所のグエン・ニ・ディエン所長も、重大事故の起きる可能性は低いとみており、軽微な事故であれば問題ないとの立場だ。
しかし、ベトナム自然環境保護協会のグエン・ディン・ホア博士は、「どんな原発にも事故の起きる可能性はある。防城港市の原発で放射能が外部に漏れるような事故が起きれば、ハノイ市を含むベトナム北部に影響が及ぶ恐れがある。ベトナムと中国は、情報交換の場を持つべき」と話している。