南部ビンズオン省でサファリパークを経営するゴー・ズイ・タンさんはベトナムで最もたくさんのトラを飼っている人物として有名である。トラの繁殖と病気治療のスペシャリストであるタンさんは、現在飼育しているトラ19頭を2年後には数百頭に増やす計画を立てており、その名声は国内のみならず外国にも響き渡っている。
タンさんとトラの出会いは1972年に遡る。当時、南部タイニン省で森林警備隊の仕事をしていたタンさんは、かつてカンボジアの国立公園でトラの飼育係をしていた夫妻と親しくなってトラの飼育方法の秘訣を教えてもらう機会を得た。それから30年近く経った2000年、タンさんはビール会社を経営する傍らサファリパークの建設に投資することを決め、ビンズオン省の広大な敷地を購入した。
すると偶然にもこの計画を耳にした人から衰弱した5頭の子トラがタンさんのもとに届けられた。タンさんが30年前の経験を思い出しながら必死で治療を続けたところ子トラは回復、無事に成長した。それ以来タンさんはトラの飼育を中心にサファリパーク運営をライフワークとすることを決めた。タンさんの目的は金儲けではなくトラを初めとする野生動物の保護にあるという。