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ホーチミン市のコーヒー製造会社で働くDさんは、売上が何倍にも伸びたという「旨い」コーヒーの製造方法をこう明かしてくれた:「バターと煎ったコーヒー豆ととうもろこし粉を1:1:1の割合で混ぜて挽いた後、苦味とこくと香りを出すためにあるものを加えるんだ」。 その「あるもの」とは、数種類の化学物質。実はこの会社に限らず多くのコーヒー製造元やカフェで、独自の風味を生み出すために様々な科学物質をコーヒーに加えている。例えば、最近人気だという泡立ちコーヒーには石けんの材料となる発泡剤を混ぜる。コーヒーの色を茶色から黒く変えるために工業用着色料で色をつけたり、「強い」コーヒーにするため合成カフェインを加えたり、用途に応じて使われる物質も違う。 これらの化学物質は工業用化学品を売る店で簡単に手に入れることができ、中にはコーヒーに泡や香り、苦味を出したい、と伝えるだけで通じる店もあるほどだ。こうした化学物質を飲用した場合の健康被害は明らかだが、規制する法律が存在しないため、市場管理局もどうすることもできない。当面消費者は、信頼あるブランドの商品を選ぶとともに、あまりに不自然な色や泡立ち具合のコーヒーは飲まないようにして自己防衛するしかなさそうだ。
[2006年5月30日 Tuoi Tre紙 電子版]
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