作家の小野正嗣氏が8日から12日までの日程でベトナムを訪れ、日本の現代文学についての講演を行っている。小野氏は1970年生まれ、「にぎやかな湾に背負われた船」で第15回三島由紀夫賞を受賞、他の2作品が芥川賞候補になった。11日付トゥオイチェー紙電子版が報じた。
8日午後にハノイのベトナム文学研究所で、ベトナムの9人の若手作家・詩人・翻訳家・批評家との座談会が行われた。小野氏は、日本語に翻訳されているベトナム文学は非常に少ないのが現状で、ベトナム語と日本語に通じている文学翻訳者の数が少ないことが原因の一つと指摘、「日本の人々に作品を紹介する最善の方法は、英語に翻訳された作品が評価を得ること。そうすればいずれ日本の出版社が、翻訳出版の連絡をしてくるだろう」と述べた。
小野氏は、8日午前にはベトナム社会科学研究所で講演し、ベトナムでも人気の高い日本人作家である村上春樹氏の作品について語った。10日には中部フエ市のフオンナム文化センターで講演し、初めてのベトナム訪問で感じたことなどを話した。12日にもホーチミン市人文社会科学大学で講演する。