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年少組の時代は、自分の世界の充実の時です。どれだけ自分の好きな遊びを見つけたり、周りの事象に興味関心を持って関われるかが、その先の成長の道筋をつけていく大切な時です。他者の存在以上に自分のやりたいことを優先します。つまりは容赦ない、取り合いが多い時期でもあります。
幼稚園のホールには大型積み木があります。年少組には少し重い感じがありますが、今年度の年少組は、年中・年長組がやっているのを見て、自分たちもやる気になって、自ら上履きをはき、なんの躊躇することなく、使いはじめました。ところが持った積み木は自分の積み木。同じ形が残っていても自分が手にした積み木は譲れないとA男が運ぼうとした積み木にB男が、同じように運ぼうと手を出しました。「ぼくの」と言って取り返します。B男も負けじと「ぼくが使う」と渡しません。連日この二人にはこのような攻防が続いていました。この日はA男が我慢をして渡しました。
数日後、今度は車のおもちゃで、争奪戦が始まりました。色のこだわりも強く、同じ色の車を欲しがり。最初に使っていたA男の車をB男が奪おうとして、取り合いになりました。そばにいる保育者は「かして」「まっててね」のやりとりを必死で伝えますが当事者には通じません。この日B男は初めて自分の思いが叶わない経験をしました。どうしようもない気持ちは、泣き崩れるしかありません。このような場面がその後も何回か起こりました。自分の行き場のない気持ちの処理は、泣き崩れるという行動で表わすしかなかったようです。保育者は、励まします。何が一番悔しいと思っているかという本人の気持ちに一番寄り添ってあげたいと思いました。
2学期が始まりました。夏休み明けも忘れることなく、大型積み木で家作りが食後のルーティーンのようになっています。子どもたちの成長が見えます。積み木の積み上げ方が遥かに上達したこと、参加する全員で、一つのものを作ろうとしていること、ストーリーも繰り返し何度もやるうちに、一緒に「居る」という仲間の意識が高まってきていることがはっきりわかります。A男もB男も加わっています。ストーリーの中でA男の役割、B男の役割がそれぞれに決まっていて、一緒に遊ぶことが楽しくてたまらない気持ちが伝わってきます。年少組らしい展開に保育者も喜んでいます。
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