[コラム]
「流されない強い意志を持とう」袖野太士さん/WEBディレクター
2016/06/06 09:38 JST更新
ベトナムで人材紹介を行う JellyfishHR がお届けする在住日本人へのインタビュー。今回は、25歳の若さでディレクターとしてIT企業に勤務している 袖野太士(そでの たいし)さん です。
幼い頃からただ漠然と「海外で働きたい」と思っていた袖野さん。大学では建築を学び、さらには大学院へと進みます。土木工学を専攻した研究生活の中で、海外での仕事は憧れのまま・・・。そこで、商社を志望して就職活動を開始。しかし、選考過程で違和感を感じ、就職活動を途中でやめ、 心機一転、語学留学でフィリピンへ 。そこで出会った人から、 現地採用という選択肢 を知ります。
新卒で現地採用の道を選び、 初めてのIT業界にベトナムで挑戦。 試行錯誤をしながら確実に前進する袖野さんの姿は、海外就職を考えている方も共感する部分があるのではないでしょうか。
大学院では発展途上国で生かせる技術を研究
―― こんにちは。早速、自己紹介からお願いします!
袖野: トイテンラー(私の名前は)・・・って違いますか。今ベトナム語を勉強していて・・・(笑) 袖野太士、25歳、東京都出身です。大学は地方の国立大学に進みました。学部時代は建築社会環境工学、院生時代は土木工学を専攻していました。ちなみに研究テーマは
発展途上国に適応できる下水処理システムの開発 です。
―― なるほど、発展途上国にもともと興味があったんですか?
袖野: そうです。研究室を選んだのも、その研究室が海外で調査をしていて、
「海外に行けるから」 だったんです。その研究室では、インドとエジプトに合計半年間滞在しました。
―― そうなんですね。なぜ海外に興味を持ったんですか?
袖野: 恐らく祖父の影響です。祖父が商社に勤めていて、幼い頃から海外で働いている話を聞いていました。両親からも
「海外で働くってかっこいいよね」 という方向づけをされて教育を受けた気がします(笑)
―― 海外の中でも、先進国ではなく途上国で働こうと思っていたんですか?
袖野:そうですね。途上国で働くことに魅力を感じていました。今後のことを考えると、
途上国は大きな可能性がある と思うんです。日本では人口が減少し、市場規模が縮小している一方、途上国には若さ溢れる人口、膨大する市場があり、今後の成長が著しいと思いました。
発展していく環境に身を置き、成長を肌で感じ生活していきたいと思ったんです。
―― なるほど。研究室でも海外経験を積まれ、海外で働くことに対しての想いも一層強まったわけですね?
袖野:そうですね。インド、エジプトでの経験で、自分に海外で生活するための適応力があるかどうかを判断することもできました。
海外で働くのはやりがいがあるし、面白い! と思ったのが大学院生1年の2月。それまで就職活動のことなんて全く考えていませんでした。
「海外で働きたい!」始まった就職活動
―― いよいよ就職活動が始まる時期ですね。どのように就職活動をされていたんですか?
袖野:大学院でも土木専攻で、かつ海外で働きたいとなると、プラント会社が最初に浮かびました。ただ、それには
ワクワクししなかった んです。
―― そうなんですか? 自分の専門分野で海外にいける道があったのに、どうしてですか?
袖野:実は大学院1年生の夏に2週間だけですが、建設コンサルティング会社のインターンシップに参加したんです。インターンで行ったのはいいものの、毎日エクセルの打ち込みなど平凡な作業しかやらせてもらえない環境で。まぁインターン生なんで当たり前なんですけどね。そこでなんとなく、「この業界つまんないのかもしれないな?」と思ってしまったんです。実際その会社で働くのがつまんないというわけではないと思うのですが、もうつまんないというイメージがついてしまって。
―― なるほど、実際行ってみたら違ったと・・・。
袖野:そうですね。あとプラントは
規模が大きすぎて、 「結局誰がデザインしても一緒じゃない?」と思うようになりました。
「自分が入らなくても他の人がやっても一緒じゃん!」 って考えてしまって。そして、
会社の規模 と、そこで
自分が出せるインパクト とを
比較 したんです。その結果、自分が活躍できる場所ではないと思い、技術系の就職は諦めました。
「海外で働く」 ことだけに絞ったんです。その結果がまずは、商社でした。やりたいことが何かあったというよりは、「商社なら何でも幅広くやってるし」くらいの感覚だったんですけどね。
―― でも、結果商社も違った訳ですか?
袖野:そうなんですよ。説明会も行ったりしたんですけど、そこでは
違和感を感じました。 説明会で目立つ人が評価され、選考が進むにつれて、この業界で僕は評価されるタイプの人間ではないなという結論に至りました。それにそこを押し曲げてまで入りたくないなと思いました。
―― なるほど。そこで袖野さんは次にどんな選択肢を選ぶんですか?
心機一転!語学留学へ! そこで知った「現地採用」という選択肢
袖野: 同期の子たちや先輩が大手や公務員など安定している就職先に次々決まる中で、焦りもありましたが、
僕はなぜかフィリピンへ語学留学に出かけたんです。
―― おお!このタイミングで留学ですか? 就職活動真っ只中ですよね?
袖野:そうです。「もう無理だなー」と血迷ったんでしょうかね。でも海外で働くには英語が必要だし、フィリピンへの語学留学が流行っているし・・・って思って(笑)
フィリピンにいたのは1か月だけだったのですが、そこで通っていた語学学校経由で
「現地採用」の存在 を知ったんです。語学学校の卒業生を対象にしたセミナーに参加して、
現地で就職をされた方のお話を聞く ことができました。
―― そこでようやく「海外で働く」というところに繋がるんですね。
袖野: そうなんですよ。実際に日本で就職して、それが海外にいける職業であったとしても、いざ国外で仕事をするのは時間がかかったり、30歳過ぎにならないと駐在できなかったりというのを聞いて。それだったら
現地就職なら最初から海外 だし、
「日本で就職する必要なんてないんだ」 と思いました。そこで出会った人に「現地採用に興味がある」ということを伝えて、人材会社の方を紹介してもらいました。
―― 日本に帰国されてから就職活動は続けられたんですか?
袖野:いや、
もう現地採用の話を聞いてからは日本での就職活動はやめました。 現地採用を紹介してくれる人材会社に登録をして何社か面接を受けました。
―― そうなんですか?! 決断が早いですね! それでベトナムへ?
必要とされている環境を求め辿り着いた「ベトナム」と「IT」
袖野:その選択肢しかなかったんです。最初は渡航経験もあったインドに行こうと思ったんですが、選考が進んでいた企業の返答が遅くて、2か月待っても返事がこない、もう必要とされてないなと感じました。物流企業を受けていたのですが、ここは商社の子会社でした。今振り返るとネームバリューにとらわれていたのかなと思います。その時に
自分を本当に必要としてくれる企業で働きたい なと思いました。
―― なるほど、求めていた企業がちょうどベトナムにあったんですね?
袖野:そうですね。もう国とか、会社名とかはどうでもよくなったんです。何社か選考を受ける中で
1番自分を必要としてくれる企業が今の会社です。
今の会社の選考は、2回目のSkype面接中に内定が出たんですよ。他社の選考スピードと比べ物にならないくらい早かったですし、何より社長と話したとき、自分を必要としてくれている感がすごく伝わってきました。「この人の下で働きたい!」と強く思い、それが入社の決め手になりました。
そして現在は、ベトナムにあるIT企業でディレクターをしています。
―― 漠然と思い描いていた「海外で働く」ことが実現したんですね!
夢と現実、実際に「海外で働くこと」とは?
―― では、実際ベトナムに来て、働いてみた感じはどうですか?
袖野: まあ今はまだ来たばかりなので、何でもやっています。 WEBのディレクションからプレゼン、会社の広報活動まで。
会社のHPではブログもやっていますよ!
なんでもやらせてもらえる環境はありがたい ですね。小さい会社ならではですね。今の業務は大きい会社ではできないことだと思っています。あくまでイメージですが。
でも、今の業務は将来きっと役に立つと思ってるので、日々成長を感じてます!
―― ベトナム人と働くことで何か感じることってありますか?
袖野:言語の面でもそうですが、
自分が「日本人」ということを意識 するようになりました。自分はベトナム人の方の4倍弱のお給料をもらっているんですよね、彼らの方が仕事ができるのに。
「日本人」ってだけで人より多くのお金をもらってる。 だからそれに見合う「働き」を見せなきゃいけないなとは考えています。
―― そうなんですね。今後もベトナムでお仕事をされていかれるんですか?
袖野:将来のことは、正直まだ考える暇がなくて。そんな時間があるなら
今の仕事をもっといいものにしていこうと思います。目の前のことに注力していますね。 何しろITでの知識は今までなかったので、
勉強するしかないんですよ!
今は1人でプロジェクトを回せるようになって、社長の負担を減らし、経営面に専念させてあげたいです。将来のことを考えるのはそれができてからですかね。
流されない強い意志を持つことが必要!
―― 新卒で海外就職をされた袖野さんが送る、海外で働きたい人に向けてのメッセージはありますか?
袖野:新卒で現地採用って、なかなかの変人ですからアドバイスになるかどうかわからないですが、
家族や、友人に反対されてもやりたいことをやり通す強い意志 が必要だとは思います。やっぱやりたいことはやりたいじゃないですか!(笑)
海外就職を考えているみなさんには是非、どんな環境においてもブレない意志を持って欲しいです!
―― 袖野さん、本日は貴重なお話、本当にありがとうございました!
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