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[コラム]

【第4回】皮膚炎の症状・治療~アレルゲンとなりうる食べ物~

2015/10/21 10:00 JST更新

皮膚炎は、犬猫の病気のなかで最も多い病気です。心臓、肝臓、腎臓などのように、皮膚も1つの臓器と考えれば、皮膚こそ「最大の臓器」と言えるのではないでしょうか。

動物の「痒み」のサイン

皮膚炎の特徴のひとつは、 なかなか治らないケースが多い ことです。慢性化しやすいタイプの皮膚炎ものもあり、動物も飼い主も辛い思いをすることがあります。
皮膚炎の症状で飼い主が最も気づきやすいのは、 「痒み」 です。皮膚炎の約半分は、痒みの症状を伴うと言われています。動物が痒がる時には、一般的に次の4つのうちいずれかの行動が見られます。その行動とは、 「なめる」「咬む」「引っかく」「擦り付ける」 の4つです。
見ているときに痒がっているのであば飼い主もわかりますが、夜中にだけ痒がっている場合は気づかないかもしれません。しかし、歯の間に毛がはさまっていたり、糞便に毛が混じっていれば、動物が痒がくて皮膚を噛んだり舐めたりしていると考えることもできます。また、皮膚が赤くなっていたり、毛が抜けていたら、その部分が痒い可能性があります。
異常を早く発見するため、ブラッシング時など定期的に皮膚をチェックするようにしましょう。

© 佐々木動物病院 真菌感染の犬

皮膚炎の原因

痒がっている場合には、 ノミやダニなどの寄生虫感染 が疑われます。次いで、 細菌感染、カビによる感染、アレルギー を疑います。治療するには、ある程度原因をはっきりさせておく必要があります。
まず、痒がっている部分の皮膚の一部をとり、顕微鏡で調べます。この検査で寄生虫が見つかれば寄生虫感染、細菌が見つかれば細菌感染という診断になります。そして、寄生虫、細菌、カビのいずれも見つからない場合は、アレルギーが疑われます。

© 佐々木動物病院 寄生虫(疥癬)による皮膚炎

痒みが悪化する原因は

原因と合わせて、症状の把握も必要です。痒みが悪化する大きな原因は4つあります。
(1) 皮膚が乾燥していること
(2) 環境の温度が高く乾燥していること
(3)生活に変化がなく、犬が退屈していること
(4) ストレスのために不安定な状態にあること
このうち(1)と(2)は、湿度が高いベトナムでは当てはまらないのではと思うかもしれませんが、機密性の良い室内で飼っている場合、冷房を一日中つけっぱなしにしているため、皮膚が乾燥してしまうケースが見受けられるので、注意が必要です。
皮膚炎かな?と思ったら動物病院で診察を受けるのが一番良いのですが、皮膚の乾燥を防ぐ方法として、週に2~3回、ベビーオイルを軽く塗っても良いでしょう。気温が高い場合は、住環境を涼しくする必要があります。また、空気が乾燥している場合は、加湿器などを利用しても良いです。

脱毛の特徴的症状

痒みに次いで多く見られる症状は脱毛です。脱毛症の特徴的な症状は2つあります。
ひとつは、ある部分の毛の本数が減少するケース、もうひとつは、毛の長さが正常より短いケースです。
犬猫は全身に毛が生えていますから、少しくらいの脱毛があっても、気がつかないことがあります。また、脱毛は通常ゆっくり進行するので、30%程度の毛が抜けてはじめて、脱毛に気づくことが多いようです。
脱毛症には、先天性のものと後天性のものがありますが、ほとんどは後天性の脱毛症です。後天性の場合は、原因がわかれば、いろいろな治療が可能になりますので、やはり原因を突き止めるために獣医師の診断が必要になります。

アレルギーになりやすい食べ物

最後に、アレルギーについてお話ししましょう。
食べ物によるアレルギーは食物有害反応のひとつで、さまざまな年齢で発症し、時間とともにその症状は進んでいきます。症状はアレル ギーの原因となる原材料が含まれるものを食べた直後から現れはじめます。アレルギーは主に、食べ物に含まれる蛋白質が引き金になります。
食べ物の中に、分子が大きく消化されにくい蛋白質が含まれていると、その蛋白質を体内の免疫システムがアレルゲン(アレルギーの原因)と認識してしまい、アレルギー症状が引き起こされるのです。症状には、年中いつでも痒い、痒すぎて掻きむしる、食欲や飲水量が変わった、便が軟らかくなった、などがあります。
普段から食べているものが原因になりやすいのですが、 犬の場合は、牛肉、乳製品、小麦など、猫の場合は牛肉、乳製品、魚などがアレルギーになりやすい食べ物 です。
<著者紹介>
佐々木動物病院 ( http://10i4.com )
獣医師 林 文明
【所属学会、資格】
1988年北里大学獣医学修士課程修了。1998年コロラト?州立大附属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ふ?。現在は、山梨・東京・ヘ?トナムて?5つの動物病院を経営。獣医師、日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。
日本動物医療コンシェルジュ協会
ノア動物病院
 

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