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[コラム]

ベトナムのセキュリティ事情(2):バイクの盗難対策

2015/05/16 06:00 JST更新

 皆さん、こんにちは。ベトナムにおけるセキュリティ事情のコラム2回目は、ベトナムと日本の治安状況に関する数字を見ながら、最も身近な犯罪である窃盗、特にベトナムで多くの作業員を雇用する際に避けては通れないバイクの盗難対策について考えてみたいと思います。

ベトナムと日本の治安状況

 ベトナムの公安省が2014年末の総括会議で発表した報告によると、2014年における刑法犯の認知件数は4万5490件、検挙人員は約8万7000人、検挙率は75.83%でした。

 私の手元に日本の法務省が発表した「平成25年(2013年)の犯罪白書」があるので簡単に比較してみましょう。日本における刑法犯の認知件数は約191万件とベトナムの約40倍、検挙人員は約88万人と約10倍です。どちらの数字も10年くらい前から一貫して減少傾向にあります。日本における検挙率は約30%前後と横ばいの状況で、数字の取り扱いの違いもあるはずですから、ここでは検挙率の高い低いについて述べるのは差し控えることにします。

 両国を比べると、認知件数の差が非常に大きいですね。ベトナムの認知件数の内訳が分からないので、あくまで推測になりますが、日本において刑法犯の大半(約75%)を占めている窃盗事案が、ここベトナムの場合、ほとんどが泣き寝入りのケースになっているのではないか、と考えています。



頻発するバイクの盗難

 例えば、ベトナムではバイクの盗難が頻発しますが、公安に届け出されるのは実際の件数の数%に過ぎないと言われています。あるメーカーの車種によっては、マスターキーが出回っているとも言われ、非常に短い時間で容易に盗難が行われるという現状があります。インターネット上には、あっという間にバイクが盗難される様子の映った監視カメラの動画が数多くアップされています。

 ベトナムではよく路面店の前に警備員が座っていますが、実は彼らの主な業務はバイクの見張りです。ベトナムのバイク盗難保険は、まだまだ普及はしていないようですが、見張りのいない駐車場での盗難は保険の対象外になるそうです。給与所得が低く、貯金率も低い一般的なベトナム人にとって、バイクは最も高価な財産の1つとなっています。そんな彼らにとってバイクを盗難されるというのは一大事。工場などの駐輪場でもバイクの盗難はしばしば発生しますが、彼らは涙ながらに訴えてきます。会社の敷地内での盗難なので、会社に補償を求めてくるケースも過去にはありました。

バイクの盗難対策

 駐輪場における盗難対策として簡便で効果的なものに、駐輪券を用意する方法があります。半券を渡したり、ナンバーを控えたりする方法です。ただし、数千台のバイクを毎日管理するには、かなりの手間がかかります。その他に駐輪場に専任の警備員を配置する、カメラを設置するなどの対策がありますが、これらの方法はそれなりに費用もかかります。

 最近ではIT技術の進歩もあり、社員証などにICチップを埋め込んでバイクと本人を照合する方法や、バイクのナンバーを自動的に写真撮影し駐輪券を発券するようなシステムも導入されるケースが増えてきました。駐輪場の広さや駐輪するバイクの台数を考慮しながら、リスクに対する手間や費用対効果で検討することをお勧めします。 

[2015年4月11日 ベトジョーコラム A]
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