市場でのサプライズから数か月後、Mr.ダムはホンさんに病院で目の検査を受けさせ、約束した通り、ホンさんの両目に光を取り戻す手術の費用を拠出したのだ。病院での検査には、Mr.ダム本人も付き添った。
(C) thanhnien |
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そして11月9日、ついに運命の日を迎えた。執刀医は、世界角膜学会元会長のドナルド・タン氏が務めた。ドナルド・タン氏は角膜移植の分野で世界をリードする名医で、今回の手術のために米国から呼んだ。
手術は無事に成功し、医師が眼帯を外そうとした瞬間、ホンさんと、付き添っていたホンさんの妹であるファム・ティ・ロアンさん(32歳)は緊張で息を止めた。ホンさんがゆっくりと目を開けると、光が差してくるのがわかり、ホンさんは喜びを噛み締めた。
ホンさんの目の前には、最愛の妹がいた。ロアンさんは新型コロナで夫を失い、女手1つで子供たちを育てている。それから、医師や看護師、そしてMr.ダムのスタッフの姿もあった。ホンさんは何も言わずに涙を流し、周りを見回した。「これが光であり、これが長年夢見てきた人生だ」と。
術後でまだ微熱が続いていたが、ホンさんは興奮気味にこう語った。「光が見えるようになったんです。まだちょっとぼやけていますが、先生によれば7~10日ほどで良くなるそうです。長い間、私の世界、私の人生は真っ黒でしたが、今はピンク色です。今は希望に満ちていて、生きる活力が湧きあがってきます」。
Mr.ダムは仕事の都合でその場に立ち会えなかったが、光を取り戻したホンさんの目で自分の姿を見てもらえるようにと、2人はビデオ通話で話した。
ロアンさんもまた、術後の経過が順調な兄の姿を前にして、涙を隠せなかった。ロアンさんは携帯電話に保存してある母親と父親、そして妻子の写真をホンさんに見せた。ついに自分の目で皆の姿を見ることができたホンさんは、泣き出したという。
Mr.ダムによると、手術の費用として2億VND(約114万円)の寄付を集めることができたが、実際には3億2000万VND(約182万円)が必要だったため、残りの1億2000万VND(約68万円)はポケットマネーから拠出したという。
手術の前のホンさんの目は、顔の前で手を振っても影が見えるだけだったが、手術の後には数m離れた指の本数を数えることができるようにまでなっていた。これから徐々に視力も回復していくという。
Mr.ダムの「有言実行」に、ホンさんはもちろん、妹、母親、妻子、親戚と、皆がMr.ダムに心から感謝している。