タンさんはかつて、農業農村開発省傘下の看護研究所の所長だった。当時は医師としてポーランドやチェコスロバキアの科学者と協力して、薬用植物や、胃腸や関節を治療するための薬について研究していた。1989年に定年退職した後、治療するお金がない貧しい病人を目の当たりにし、そういった人々に奉仕する今の仕事を始めた。
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30年が経ち、無料で治療を受けた患者数は数十万人に上る。「10月22日に先生に手紙を送り、11月10日には薬を送ってもらえました。数日間薬を飲んで、腹痛は治り、熱やげっぷの症状も良くなりました」と、東南部地方ドンナイ省在住のフイン・ティ・キム・ホンさん(女性・65歳)は教えてくれた。ホンさんが送った手紙に当局の証明印はなかったが、それでもタンさんは薬を送ってくれた。「私が菜食主義者の仏教徒で、一人で生活しているからだと思います」とホンさんは語る。
ソンタイ町赤十字協会会長のグエン・バン・クオンさんによると、これまでの20年間、ソンタイ町の人々はタンさんから薬に加えてお金、牛、テト(旧正月)の贈り物などを受け取ってきたという。人々は今や、タンさんのことを名前でも「先生」でもなく、「仙人」と呼んでいる。
高齢になり、タンさんは健康のため毎食茶碗1杯のご飯を食べるだけだが、これまでに一度も薬やミルクを飲むような健康状態にはなっていないという。「90歳の時にバービー山(ハノイ市バービー郡)の山頂に桃の木を3本運び、植えました。それ以来、毎年1月の満月の日にはマウ寺とトゥオン寺まで1300段以上の階段を歩いて登っています。疲れたら休憩し、杖を使ったり、妻子の助けを借りたりすることはありません」とタンさんは語った。