2018年1月、定期健康診断の結果、ハインさんのがんは縦隔や肺、腹腔のあちこちに転移しており、10cm近い大きな腫瘍も多数あることがわかった。悲しい現実を前にしても、ハインさんは変わらず仕事に行き、きめ細やかに患者たちの世話をしていた。
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しかし、聡明で優秀な女性医師の驚異的な強さをしても希少がんを撥ねつけることはできなかった。がん専門医らが協議し治療方針が決定した後、ハインさんは初めてむせび泣きながら同僚にこう話した。「まだ病気のことを家族にも話していないんです。両親を悲しませるのが怖いんです。両親の老後の世話をしたいんです!小さな2人の子供たちのこともどうすればいいんですか?!」
ハインさんの同僚は、「彼女は、担当する患者さんたちがテト(旧正月)を故郷で家族と一緒に迎えられるよう、自分自身の心配を隠しながら落ち着いて患者さんたちの診療をしていました。でも私たちには、彼女が心の奥底で家族や親戚、小さな2人の子供たちの将来を心配していることがわかります。ハインさんは若い医師です。彼女と旦那さんの収入も多くないですし、生活も本当に質素です」と語る。
別の同僚は、「彼女の家を訪れたとき、彼女の家の中にはおんぼろのテレビしかありませんでした。彼女はハノイ市タインチー郡のファップバン都市区にある古いアパートに住んでいて、ご両親は田舎で暮らしています。子供は6歳と2歳。病気を克服して、大切な人たちの世話をして、大好きな医療の仕事を続けてほしいです」と話す。
2018年2月、ハインさんはベトドク病院で7時間にもわたる大手術を受けた。手術後も、化学療法でがんと闘い続けている。