父だけでなく、母のチャウさんも心臓病を患っており、身体に障害があるため重労働ができない。ブーさんが事故に遭った日から、家族の生活は行き詰まってしまった。こうした事情を知る村の人々は、村で結婚式やパーティー、誕生日会などが開かれるたび、バオ君とフォン君を招いて演奏を依頼し、2人がお金を稼げるように助けている。
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2人の兄弟は村の外でも知られており、遠隔地に住んでいる人々も兄弟を招いて演奏を依頼する。小さなパーティーでも大きなパーティーでも、また喫茶店での演奏でも、主催者側から何か要求があれば、2人の兄弟は一生懸命に応じる。歌を求められれば歌う。そして兄弟は、父に薬を買うため、そして自分たちの学業のために、演奏で稼いだ全てのお金を母に渡している。
チャウさんは、庭先で遊んでいる子供2人を見ながら、「2人の子供はとても勤勉で、どんなに遠くても依頼があれば演奏に出かけて行きます。大雨でも、結婚式場が数十km離れていても行くんです。雨に濡れて午前2時に帰った日も、シャワーを浴びて少し休んだら翌朝にはまた学校に通うんです」と涙ながらに語った。
バオ君が通う、ニンアン村にあるファムグーラオ中学校のファン・ディン・ラム校長はこう語る。「幼い2人の兄弟は学齢期ですが、両親を支えるためにお金を稼がなければなりません。このことには心を打たれますし、大人にとっても教訓となります」。学校と地元政府は、2人に対して授業料を免除するなどのサポートを行っているという。