薬草のハー サパの植物を世界の市場に

2007/07/22 08:31 JST配信

 ハノイの公務員の家庭に生まれたドー・ティ・トゥー・ハー(31歳)は、北部ラオカイ省サパ郡の少数民族の人たちから「薬草のハー」と呼ばれている。ハーは2005年にサパ薬草社を立ち上げた人物だ。

 ハーはハノイ総合大学で植物の種保存に関する学問を学んだ後、イギリスの環境NGO(非政府団体)「ソサエティ・フォー・エンバイロンメンタル・エクスプロレーション」に就職、2002年にニュージーランドと欧州連合(EU)の国際開発基金が支援する「サパ薬草開発計画」のコーディネーターに任命される。この計画はサパで暮らす少数民族の生計基盤を改善すると共に、絶滅の危機にひんしている植物の保護を奨励することを目的としていた。

 3年の間にこの計画は非常に多くの成果をあげた。過度の開発で絶滅しかかっていた植物が、今では貴重な収入源として保護されるようになっている。こうした植物は数種類になるが、この計画の一番の成果は、これらの植物がうつや物忘れなどの現代病に効果のあることが研究の結果わかったということだ。

 例えばある植物の根は、皮膚がんを抑制する物質を含有しているという。もし研究結果が科学的に証明されれば、サパの人たちにとって大きなチャンスとなり得る。この計画による成果の所有権はサパの人々の利益になるよう守られているからだ。さらにハーはこの計画が終了した後、計画の成果を商品化して商業ベースにのせるため会社を設立しようと考えた。こうして2005年にサパ薬草社が誕生した。現在同社では、栽培した植物をオーストラリアやニュージーランドへ輸出する手続きを始めている。

 同社は2007年の「環境開発のための起業家支援(SEED)賞」を受賞した。この賞は約70カ国の民間企業、NGO、社会団体など230団体の中から5団体が受賞したもの。ハーはこの賞の受賞について、同社の計画がサパの人々の生活に与える可能性の大きさを世界に認められたあかしだと語る。

 SEEDの助成枠には協働事業プランも含まれるという。SEEDの広報担当者によると、この助成は共同事業の実施や人材育成、さらには財政支援も含まれる。この助成を活用してサパの薬草が世界の市場にデビューする日もそう遠くはないだろう。

[2007年7月2日 Tuoi Tre紙 電子版]
※VIETJOは上記の各ソースを参考に記事を編集・制作しています。
© Viet-jo.com 2002-2025 All Rights Reserved 免責事項

この記事の関連ニュース

 南中部沿岸地方クアンナム省ホイアン市の旧市街を通る主要道路の1つであるチャンフー(Tran Phu)通りに...

新着ニュース一覧

 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 ベトナム共産党政治局は、南中部沿岸地方フーイエン省共産党委員会筆頭副書記のカオ・ティ・ホア・アン...
慣れない海外生活、急病や事故
何かあってからでは遅い!
今すぐ保険加入【保険比較サイト】
 シンガポール系グラブ(Grab)の現地法人グラブベトナム(Grab Vietnam)は、ベトナムでチャーター車両「グ...
 ホーチミン市フーニュアン区のファンシックロン(Phan Xich Long)通りの周辺には、全長1kmにも満たない1...
 国会常務委員会は3月31日、第15期(2021年~2026年任期)国会第9回会議の準備について話し合った。  ...
 ホーチミン市人民委員会は3月29日、同市を流れるサイゴン川に架かる歩道橋の着工式を開催した。  ...
 ルオン・クオン国家主席は国家主席府で1日午前、ベトナムを公式訪問中のベルギーのフィリップ国王陛下...
 保健省によると、今年に入ってから麻疹(はしか)の流行が始まり、これまでに4万2000人以上の感染疑いが...
 地場系コングロマリット(複合企業)ビングループ[VIC](Vingroup)傘下の電
 南中部沿岸地方ダナン市人民委員会は3月28日、バクダン(Bach Dang)通り42番地の施設改修・拡張による「...
 国際協力機構(JICA)中部と株式会社ATグループ(愛知県名古屋市)は3月28日、JICA草の根技術協力事業「ベ...
 ENEOS Xplora株式会社(東京都千代田区、旧社名:JX石油開発株式会社)は3月25日、同社が100%出資する日...
 米国のS&Pグローバル(S&P Global)が先般発表した2025年3月のベトナム・PMI(製造業購買担当者指数)は50....
 ベトナムは、日本やインドネシアのような環太平洋火山帯に位置する国々と比べて、地震発生のリスクは低...
トップページに戻る